顎関節診断におけるAnatomic X-ray Alinerの有用性について

Anatomic X-ray Aliner (以下AXAと略す) 所見の診断における有用性について検討するために, 九州歯科大学学生120名を対象に, まず, 現症に関する簡単なアンケート調査, および, 最大開口距離・開口路・側方限界運動距離・関節雑音に関する顎機能診査を行った。これらのデータと咬頭嵌合位・安静位・最大開口位の3顎位におけるAXAによる顎関節X線規格写真とを比較したところ, 以下のことがわかった。 1. AXA分析より, 関節雑音を主症状とする者は, 咬頭嵌合位における下顎頭の位置異常が多く認められた。 2. 筋痛あるいは開口障害のみを主症状とする者は, AXA所見からの異常...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 3; no. 1; pp. 88 - 97
Main Authors 三宅, 茂樹, 豊田, 静夫, 有田, 正博, 鱒見, 進一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 30.06.1991
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.3.88

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Summary:Anatomic X-ray Aliner (以下AXAと略す) 所見の診断における有用性について検討するために, 九州歯科大学学生120名を対象に, まず, 現症に関する簡単なアンケート調査, および, 最大開口距離・開口路・側方限界運動距離・関節雑音に関する顎機能診査を行った。これらのデータと咬頭嵌合位・安静位・最大開口位の3顎位におけるAXAによる顎関節X線規格写真とを比較したところ, 以下のことがわかった。 1. AXA分析より, 関節雑音を主症状とする者は, 咬頭嵌合位における下顎頭の位置異常が多く認められた。 2. 筋痛あるいは開口障害のみを主症状とする者は, AXA所見からの異常所見が確認できなかった。 3. 顎関節異常者は, アンケート調査では21名, 顎機能検査では62名, AXA所見では46名であった。 4. AXAによる異常者の中に顎機能検査の異常者が含まれる割合が非常に高率であった。 以上のことから, 初診時にAXAによる顎関節X線撮影を行うことは, 非常に有用であり, かなり的確な診断が可能であることが示唆された。一方, 確実なX線診断を行うためには, 顎機能検査および他のX線装置が必要であることが再認識された。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.3.88