左室を圧迫する右房憩室内からの通電が有効であった, 左室心外膜側起源心室頻拍の1例

症例は24歳, 男性. 心房細動による動悸を認め当科紹介受診. 心エコー上, 右房と交通する左室基部~中位の横隔膜面の·胞用構造物を認め, 右房憩室の存在が指摘された. 内服にて経過観察中, 再度, 動悸発作を認め当科受診. 上方軸型を示す心拍数250bpmの心室頻拍を認め, 後日カテーテルアブレーションを施行した. Clinicalな心室頻拍は誘発が困難であったため, 両心室内において詳細にpacemapを行ったところ, 左室後壁中隔領域において, おおむね極性の一致を認めたが, QRS幅はやや狭く, 完全な一致は認めなかった. このため, 右房憩室内から先程と対側に位置する心外膜側にアプロ...

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Published in心臓 Vol. 43; no. SUPPL.3; pp. S3_142 - S3_149
Main Authors 佐藤, 千鶴, 坂本, 有, 深澤, 利恵, 大島, 茂, 中村, 啓二郎, 西内, 英, 谷口, 興一, 内藤, 滋人, 林, 達哉, 後藤, 貢士, 松橋, 論宣, 熊谷, 浩司, 絈野, 健一, 福家, 悦子, 三樹, 祐子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.43.S3_142

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Summary:症例は24歳, 男性. 心房細動による動悸を認め当科紹介受診. 心エコー上, 右房と交通する左室基部~中位の横隔膜面の·胞用構造物を認め, 右房憩室の存在が指摘された. 内服にて経過観察中, 再度, 動悸発作を認め当科受診. 上方軸型を示す心拍数250bpmの心室頻拍を認め, 後日カテーテルアブレーションを施行した. Clinicalな心室頻拍は誘発が困難であったため, 両心室内において詳細にpacemapを行ったところ, 左室後壁中隔領域において, おおむね極性の一致を認めたが, QRS幅はやや狭く, 完全な一致は認めなかった. このため, 右房憩室内から先程と対側に位置する心外膜側にアプローチしpacemapを行うと移行帯, QRS幅ともに良好であり, また, 同部においてfractionated potentialを得た. 右房憩室内から同部周辺計4回の通電を行った後はisoproterenol投与下の誘発刺激でも頻拍は全く誘発されず, 現在, 外来にて1年半のフォローを行っているが一度も心室頻拍を認めていない. 本症は, 左心室が右房憩室により圧迫されている所見を認めており, 心室頻拍との関連性が推察された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.S3_142