男性路上生活者の健康と生活の動向

「I緒言」1990年代のバブル経済崩壊以降, 路上で生活する人々が急増しており, 東京都の路上生活者概数調査によると都内の路上生活者は1996年には約3,500人, 1999年には約5,800人と報告されている(東京都福祉局ホームページ, 1999). その後徐々に減少し, 2006年2月の概数調査では約3,800人が路上で生活していると報告されている(東京都保健福祉局ホームページ, 2006). これらの路上生活者がどのような健康上の問題を抱えているかについては, 福祉施設利用者や病院受診者を対象とした実態報告がなされている(中西ほか, 1997;中西, 1998;鏡ほか, 1998;冬期臨...

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Published in民族衛生 Vol. 73; no. 3; pp. 87 - 98
Main Authors 下平唯子, 岡部聰子, 飯田恭子, 峯川美弥子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本民族衛生学会 2007
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ISSN0368-9395

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Summary:「I緒言」1990年代のバブル経済崩壊以降, 路上で生活する人々が急増しており, 東京都の路上生活者概数調査によると都内の路上生活者は1996年には約3,500人, 1999年には約5,800人と報告されている(東京都福祉局ホームページ, 1999). その後徐々に減少し, 2006年2月の概数調査では約3,800人が路上で生活していると報告されている(東京都保健福祉局ホームページ, 2006). これらの路上生活者がどのような健康上の問題を抱えているかについては, 福祉施設利用者や病院受診者を対象とした実態報告がなされている(中西ほか, 1997;中西, 1998;鏡ほか, 1998;冬期臨時宿泊事業検討会, 1998). これらの実態報告では, 路上生活に至るまでの経過や生活の実態, 結核や生活習慣病の有病率の高さや自覚症状などの有訴率の高さが指摘されている. このように路上生活者の身体的な健康問題については, 少しずつ明らかにされつつあるが, これらの調査報告の対象者は福祉施設を利用した人や病院を受診した人に限定されており, 実際の路上生活者を代表しているとはいえない.
ISSN:0368-9395