Head up tilt試験を用いた神経調節性失神(Neurally mediated syncope:NMS)の病型診断と治療戦略の検討
I「はじめに」失神の原因疾患として, Adams-stokes発作や中枢神経疾患などが注目されがちであるが, 神経調節性失神(neurally mediated syncope:以下NMS)がその24%を占めていることはあまり知られていない1). このため当院では, 病歴からNMSが疑われる症例に対しては積極的にhead up tilt試験(以下HUT)を行い, 病型に応じた治療法を選択している. 今回これらの症例を検討し若干の知見を得たため, 文献的考察を加え報告する. II「対象」2001年から2006年までの5年間に, 繰り返す失神を主訴として上越総合病院を受診した27例(男性10例,...
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Published in | 信州医学雑誌 Vol. 54; no. 4; pp. 189 - 195 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
信州医学会
2006
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ISSN | 0037-3826 |
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Summary: | I「はじめに」失神の原因疾患として, Adams-stokes発作や中枢神経疾患などが注目されがちであるが, 神経調節性失神(neurally mediated syncope:以下NMS)がその24%を占めていることはあまり知られていない1). このため当院では, 病歴からNMSが疑われる症例に対しては積極的にhead up tilt試験(以下HUT)を行い, 病型に応じた治療法を選択している. 今回これらの症例を検討し若干の知見を得たため, 文献的考察を加え報告する. II「対象」2001年から2006年までの5年間に, 繰り返す失神を主訴として上越総合病院を受診した27例(男性10例, 女性17例)に対してHUTを行った. この結果が陽性でNMSと診断した連続20例を対象とした. 症例の内訳は男性5例(25%), 女性15例(75%)で, 平均年齢は57.7歳(±17.7歳)であった. III「方法」いずれも脳血管疾患やてんかん, 虚血性心疾患, 不整脈, 低血糖などの代謝性疾患について, 脳波, MRI, 冠動脈造影, ホルター心電図および電気生理学的検査, 血液検査等を行い他の失神の原因を除外した. また, 事前にHUTの有用性と検査内容および失神が誘発された際の危険性について十分な説明を行い, これに同意を得た上でHUTを行った. |
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ISSN: | 0037-3826 |