細小肝細胞癌の臨床 外科的切除症例の病態と病理形態学的検討
教室における原発性肝癌49例の臨床と外科的治療の概略をのべ,外科的切除した細小肝細胞癌の4例について臨床病態と病理組織学的検討を加えた.外科的治療49例中切除例は20例,41.7%,うち硬変合併肝は16例で,耐術例での予後では65%が硬変進行による肝不全死であった.細小肝細胞癌の臨床検査では血清AFP 3例中2例,HBs抗原4例中2例が陽性で,肝血管造影及び肝シンチでは各々3例に腫瘍が捕捉され有力な診断法であった.腫瘍の肉眼型は全て単結節型で腫瘍被膜を有し,肝被膜を破ったものが2例,腫瘍内壊死形成が3例にみられた.組織学的には全例に腫瘍被膜外への浸潤がみられ,細胞異型度はEdmondson I...
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          | Published in | 肝臓 Vol. 21; no. 8; pp. 1008 - 1015 | 
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本肝臓学会
    
        01.08.1980
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| Subjects | |
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| ISSN | 0451-4203 1881-3593  | 
| DOI | 10.2957/kanzo.21.1008 | 
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| Summary: | 教室における原発性肝癌49例の臨床と外科的治療の概略をのべ,外科的切除した細小肝細胞癌の4例について臨床病態と病理組織学的検討を加えた.外科的治療49例中切除例は20例,41.7%,うち硬変合併肝は16例で,耐術例での予後では65%が硬変進行による肝不全死であった.細小肝細胞癌の臨床検査では血清AFP 3例中2例,HBs抗原4例中2例が陽性で,肝血管造影及び肝シンチでは各々3例に腫瘍が捕捉され有力な診断法であった.腫瘍の肉眼型は全て単結節型で腫瘍被膜を有し,肝被膜を破ったものが2例,腫瘍内壊死形成が3例にみられた.組織学的には全例に腫瘍被膜外への浸潤がみられ,細胞異型度はEdmondson II typeが主で,非癌部組織には肝硬変及び線維化がみられた.門脈内腫瘍血栓は2例に認め,1例が15ヵ月後に肺及び肝内転移で死亡した.腫瘍径が3cm以上になると組織学的に進行癌の様相を呈しているため充分なる肝葉切除あるいは区域切除の必要性を強調した. | 
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| ISSN: | 0451-4203 1881-3593  | 
| DOI: | 10.2957/kanzo.21.1008 |