熊本県における妊娠週数別出生体重の年次変化と出生体重の低下との関連(1979-1997)

I. 緒言 わが国における平均出生体重は, 厚生労働省統計情報部の人口動態統計によると(1), 1980年まで男女ともに増加傾向にあった. しかし, 1980年を頂点に, 男女ともに低下傾向にあるが, この原因はまだ明らかにされてはいない. 最近の平均出生体重の低下に影響する要因として, 低出生体重児の増加, 出産年齢の上昇, 多胎児出生の増加, 第1子出生の増加, 産科合併症妊婦の増加, 早産の増加といった産科的要因の変化(2)や, 妊娠中の栄養摂取や嗜好等食生活の変化および女性のライフスタイルの変化等の杜会, 経済的要因が指摘されている(3). 先に著者らは人口動態統計データを用いて熊本県...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本衛生学雑誌 Vol. 61; no. 3; pp. 348 - 356
Main Authors 上田公代, 尾道三一, 原田幸一, 上田 厚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生学会 2006
Online AccessGet full text
ISSN0021-5082

Cover

More Information
Summary:I. 緒言 わが国における平均出生体重は, 厚生労働省統計情報部の人口動態統計によると(1), 1980年まで男女ともに増加傾向にあった. しかし, 1980年を頂点に, 男女ともに低下傾向にあるが, この原因はまだ明らかにされてはいない. 最近の平均出生体重の低下に影響する要因として, 低出生体重児の増加, 出産年齢の上昇, 多胎児出生の増加, 第1子出生の増加, 産科合併症妊婦の増加, 早産の増加といった産科的要因の変化(2)や, 妊娠中の栄養摂取や嗜好等食生活の変化および女性のライフスタイルの変化等の杜会, 経済的要因が指摘されている(3). 先に著者らは人口動態統計データを用いて熊本県における1974-1997年の全出生児を対象に, 「出生順位」, 「母親の年齢」, 「性別」, 「単, 複産」および「妊娠期日」による出生割合を比較した結果, 大きな変化がなかったこと, わずかに母親の年齢の「35歳以上」の割合が, 4%-5%から1992年以降では, 9.8%に増加したことを報告した(4).
ISSN:0021-5082