A-VECMO (膜型人工肺による動-静脈式体外酸素化法) による子宮外保育中という 母体から独立した状況下でのヤギ胎仔のbehavioral stateについて

【目的】母体からの影響を除いた状況下での胎児のbehavioral states を評価することを目的として, われわれが開発したヤギ胎仔子宮外保育装置を用いて動物実験を行った.【方法】妊娠118日-126日 (満期 : 150日) のヤギ胎仔10 頭を用いて子宮外保育実験を行った.子宮外保育実験は, われわれが独自に開発したA-VECMO (膜型人工肺による動-静脈式体外酸素化法) を用いた子宮外保育実験装置を用いて行った.子宮外保育開始後, 胎仔の状態が安定したところで, 血圧, 心電図 (ECG), 脳波 (EEG) などの生理学的パラメータをデジタルデータレコーダに記録した.記録したデ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in順天堂医学 Vol. 56; no. 5; pp. 457 - 464
Main Authors 落合, 圭子, 吉田, 幸洋, 桑原, 慶紀, 伊藤, 茂, 江原, 義郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2010
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.56.457

Cover

More Information
Summary:【目的】母体からの影響を除いた状況下での胎児のbehavioral states を評価することを目的として, われわれが開発したヤギ胎仔子宮外保育装置を用いて動物実験を行った.【方法】妊娠118日-126日 (満期 : 150日) のヤギ胎仔10 頭を用いて子宮外保育実験を行った.子宮外保育実験は, われわれが独自に開発したA-VECMO (膜型人工肺による動-静脈式体外酸素化法) を用いた子宮外保育実験装置を用いて行った.子宮外保育開始後, 胎仔の状態が安定したところで, 血圧, 心電図 (ECG), 脳波 (EEG) などの生理学的パラメータをデジタルデータレコーダに記録した.記録したデータはオフラインでサンプリング周波数300Hz, 解像度16 ビットでAD 変換の後, コンピュータ解析を行った.それぞれのデータはEEGにおいて高振幅 (high-voltage) と低振幅 (low-voltage) の繰り返しが少なくとも1回は含まれる部分を3 ヵ所ランダムに選び, 自己相関モデルによるパワースペクトル解析を実施した.【結果】10 頭すべての胎仔において, 子宮外保育実験中のEEG は高振幅期と低振幅期の2 つに分類され, それぞれが相互に繰り返し出現した.パワースペクトル解析の結果, 高振幅期脳波は0.5-4Hz, つまりデルタ波帯域に一致するピークを有する脳波であり, 低振幅期脳波は, これに加えて8-13Hz, つまりアルファ波帯域にもピークを有する脳波であることが明らかとなった.【結論】A-VECMO (膜型人工肺による動- 静脈式体外酸素化法) を用いた子宮外保育実験中においても, 妊娠125 日前後のヤギ胎仔はnon-REM期およびREM 期あるいは覚醒期に匹敵する2 つの異なるbehavioral statesを示すことから, 未熟ヤギ胎仔において自律的なbehavioral statesの発達が認められることが判明した.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.56.457