眼科領域におけるcefluprenamの基礎的・臨床的検討

新しい注射用セファロスポリン剤, cefluprenam (CFLP) の眼科領域における基礎的, 臨床的検討を行った。 1) 本剤はグラム陽性菌, 陰性菌に広い抗菌スペクトルを示し, Pseudomonas aeruginosaにはceftazidimeよりすぐれた抗菌活性を示した。臨床分離のStaphylococcus aureus 20株は≦0.19~1.56μg/mlに感受性分布を示し, 0.39μg/mlに分布の山がみられた。P. aeruginosa 20株では0.39~≧100μg/mlに分布して3.13μg/mlに分布の山を示した。 2) 白色成熟家兎にCFLPを50mg/kg...

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Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 43; no. Supplement4; pp. 242 - 252
Main Authors 鈴木, 明子, 千葉, 可芽里, 阿部, 達也, 玉井, 信, 田澤, 豊, 藤原, 隆明, 宮尾, 益也, 吉野, 啓, 野村, 代志子, 鎌田, 龍二, 今井, 晃, 岡村, 良一, 笹川, 智幸, 堀田, 明弘, 大蔵, 文子, 加藤, 圭一, 大石, 正夫, 原, 二郎, 本山, まり子, 高橋, 久仁子, 宮川, 真一, 安田, 冬子, 田沢, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 30.11.1995
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ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.43.Supplement4_242

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Summary:新しい注射用セファロスポリン剤, cefluprenam (CFLP) の眼科領域における基礎的, 臨床的検討を行った。 1) 本剤はグラム陽性菌, 陰性菌に広い抗菌スペクトルを示し, Pseudomonas aeruginosaにはceftazidimeよりすぐれた抗菌活性を示した。臨床分離のStaphylococcus aureus 20株は≦0.19~1.56μg/mlに感受性分布を示し, 0.39μg/mlに分布の山がみられた。P. aeruginosa 20株では0.39~≧100μg/mlに分布して3.13μg/mlに分布の山を示した。 2) 白色成熟家兎にCFLPを50mg/kg 1回静注した時の前房水中濃度は, 投与15分後にピーク値4.2μg/mlの濃度に達し以後は漸減し, 6時間後は0.9μg/mlであった。房水血清比 (房血比) は15分値で2.97%であった。投与30分後に測定した眼組織内濃度は, 外眼部組織で6.8±0.1~53-4±0.4μg/g, 眼球内部では0.6~16.6±1.2μg/g or mlであった。 3) ヒトに1.0g点滴静注して, 60~120分後に0.69~2.7μg/mlの前房水中濃度が証明された。ヒト涙嚢内へは, 1g点滴静注して3時間後に15.6μg/gの高い移行濃度が認められた。 4) 眼瞼炎1例, 急性または慢性の急性増悪の涙嚢炎7例, 角膜潰瘍13例, 全眼球炎5例および眼窩蜂巣炎3例の計29症例に本剤を1回1g, 1日2回点滴静注した。各症例からS. aureus, coagulase negative Staphylococcus, Streptococcus pneumoniae, α-haemolytic Streptococcus, Klebsiella oxytoca, Serratia marcescens, Pseudomonas spp. などが分離された。著効11例, 有効13例, 無効4例, 判定不能1例の結果で, 有効率は85.7%であった。副作用は2例 (6.9%) に発現して, 全身掻痒感の1例は投与中止後, 異物感の1例は投与終了後それぞれ消失した。臨床検査値の異常は6例 (23.1%) にみられ, GOT, GPTの軽度上昇であった。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.43.Supplement4_242