泌尿器科領域におけるpazufloxacinの基礎的・臨床的検討

新規ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacin (PZFX) の尿路感染症由来株に対する抗菌力, ならびに尿路性器感染症に対する臨床効果を検討した。 1) 尿路感染症由来株14菌種207株に対するPZFXのMICを測定し, norfloxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX) と比較検討した。また, 1983年~1991年の間に分離された尿路感染症由来Pseudomnas aeruginosa235株に対する本剤および対照薬のMICを測定し, その年次推移をみた。また, MIC測定用broth中, および人工尿中でのP. aeruginosaに対するMICを測定し, 比...

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Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 43; no. Supplement2; pp. 363 - 376
Main Authors 岸, 幹雄, 朝日, 俊彦, 渡辺, 豊彦, 畠, 和宏, 津川, 昌也, 早田, 俊司, 那須, 良次, 竹中, 皇, 公文, 裕巳, 櫻本, 耕司, 小野, 憲昭, 大森, 弘之, 林, 俊秀, 水野, 全裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.09.1995
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ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.43.Supplement2_363

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Summary:新規ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacin (PZFX) の尿路感染症由来株に対する抗菌力, ならびに尿路性器感染症に対する臨床効果を検討した。 1) 尿路感染症由来株14菌種207株に対するPZFXのMICを測定し, norfloxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX) と比較検討した。また, 1983年~1991年の間に分離された尿路感染症由来Pseudomnas aeruginosa235株に対する本剤および対照薬のMICを測定し, その年次推移をみた。また, MIC測定用broth中, および人工尿中でのP. aeruginosaに対するMICを測定し, 比較検討した。グラム陽性菌に対しては, OFLXとほぼ同等, グラム陰性菌に対しては, ほとんどの菌種に対して対照薬より優れた抗菌力を示した。P. aeruginosaに対する本剤および対照薬の抗菌力は年次的に耐性化傾向が認められた。また, MIC測定用broth中と人工尿中での抗菌力を比較すると, 人工尿中ではNFLX, OFLXのMICが3管程度低下するのに対し, 本剤の人工尿中MICの低下は軽度であり, 尿中においても優れた抗菌力を示すものと考えられた。 2) 急性単純性膀胱炎2例, 複雑性尿路感染症19例, 急性前立腺炎1例, および慢性前立腺炎3例を対象に, 本剤を1回100mgないし200mg, 1日2ないし3回, 5~22日間経口投与し, その臨床効果を検討した。急性単純性膀胱炎2例では, 主治医判定でともに有効以上であった。複雑性尿路感染症17例では, UTI薬効評価・基準に準じて判定した総合臨床効果 (UTI判定) は, 著効7例, 有効5例, 無効5例で有効率71%であった。また, 急性前立腺炎の1例は著効であり, 慢性前立腺炎では主治医判定で著効1例, 有効2例, そのうちUTI判定で有効1例であった。自・他覚的副作用, および臨床検査値異常は認められなかった。以上より, 本剤は泌尿器科領域感染症に対し有用な薬剤であると考えられた。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.43.Supplement2_363