深頸部感染症の5症例

抗生物質の発達した近年においても深頸部感染症の報告は増加傾向にある。中でも非クロストリジウム性の頭頸部ガス壊疽症例が目立つ。当科でも平成7年11月から平成8年7月までの9ヵ月間に5例の深頸部感染症を経験した。この内2例はガス産生を伴っていた。好気性菌と嫌気性菌の混合感染, 薬剤耐性嫌気性菌の増加を考慮し, 初期治療に用いる抗生物質の選択は慎重になされなければならない。深頸部感染症は重症化する以前に耳鼻咽喉科以外の診療機関で加療されることも多くその病態, 危険性について多くの臨床家と意見交換がなされるべきであり, 深頸部感染症へと移行する可能性のある症例を早期に見極め, その増加防止に力を注ぐ必...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 40; no. 2; pp. 180 - 185
Main Authors 秋元, 利香, 藤倉, 輝道, 馬場, 俊吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.04.1997
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.40.180

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Summary:抗生物質の発達した近年においても深頸部感染症の報告は増加傾向にある。中でも非クロストリジウム性の頭頸部ガス壊疽症例が目立つ。当科でも平成7年11月から平成8年7月までの9ヵ月間に5例の深頸部感染症を経験した。この内2例はガス産生を伴っていた。好気性菌と嫌気性菌の混合感染, 薬剤耐性嫌気性菌の増加を考慮し, 初期治療に用いる抗生物質の選択は慎重になされなければならない。深頸部感染症は重症化する以前に耳鼻咽喉科以外の診療機関で加療されることも多くその病態, 危険性について多くの臨床家と意見交換がなされるべきであり, 深頸部感染症へと移行する可能性のある症例を早期に見極め, その増加防止に力を注ぐ必要性があると考えられた。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.40.180