ニューキノロン系合成抗菌薬NM441の胆嚢組織内濃度, 胆汁中濃度および外科感染症における臨床効果

新しいニューキノロン系合成抗菌薬NM441の胆道系への移行および外科感染症に対する臨床効果について検討した。 1) 脂嚢摘出術を予定している12例に, 術前NM441200mgを1日2回, 2日間と手術当日に1回の計5回経口投与した結果, 胆嚢組織内NM394 (NM441の活性本体) 濃度は最高3.36μg/g, 胆嚢胆汁中のNM394およびグルクロン酸抱合体濃度はそれぞれ最高42.2μg/ml, 最高28.4μg/mlであった。 また, 末梢血中NM394濃度は最高0.76μg/ml, さらに開腹手術を行った2例について門脈血中濃度を検討したところ, 投与後5.5~7時間でNM394濃度は...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 44; no. Supplement1; pp. 462 - 470
Main Authors 小林, 康人, 内山, 和久, 山本, 真二, 岩倉, 伸次, 青木, 洋三, 岩橋, 秀幸, 林堂, 元紀, 堀田, 司, 坂本, 幸具, 岡, 統三, 石本, 喜和男, 堂西, 宏紀, 橋本, 雅夫, 谷村, 弘, 三島, 秀雄, 一宮, 源太, 村上, 浩一, 福永, 裕充
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.03.1996
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.44.Supplement1_462

Cover

More Information
Summary:新しいニューキノロン系合成抗菌薬NM441の胆道系への移行および外科感染症に対する臨床効果について検討した。 1) 脂嚢摘出術を予定している12例に, 術前NM441200mgを1日2回, 2日間と手術当日に1回の計5回経口投与した結果, 胆嚢組織内NM394 (NM441の活性本体) 濃度は最高3.36μg/g, 胆嚢胆汁中のNM394およびグルクロン酸抱合体濃度はそれぞれ最高42.2μg/ml, 最高28.4μg/mlであった。 また, 末梢血中NM394濃度は最高0.76μg/ml, さらに開腹手術を行った2例について門脈血中濃度を検討したところ, 投与後5.5~7時間でNM394濃度はそれぞれ1.02μg/ml, 0.49μg/mlであったが, NM441は検出されなかった。 2) 経皮経肝胆管ドレナージ (PTCD) 3例, T-tube挿入5例の胆汁ドレナージ施行8例に, NM441200mgを単回投与した結果, 胆汁中NM394は最高45.6μg/mlであり, グルクロン酸抱合体濃度は最高14.5μg/mlであった。一方, 6時間までの尿中排泄率はNM394が9.6%, グルクロン酸抱合体が0.12%であった。 3) Ursodeoxycholic acid (UDCA) 投与2例では, 非投与例に比較してNM394の胆汁中最高濃度が高く, 同時に胆汁中回収率が増加した。 4) 臨床効果の検討では, 胆道感染症4例 (胆嚢炎1例, 胆管炎3例), 一般外科感染症8例 (肛門周囲膿瘍3例, 創感染1例, 感染性粉瘤3例, 節1例) にNM4411日200~400mgを3~8日間投与した。判定可能な11例の臨床効果は,「著効」7例,「有効」3例,「やや有効」1例であり, その有効率は90.9%であった。細菌学的効果は, 投与前に分離された11株中10株が消失した。副作用および臨床検査値異常変動は, いずれの症例にも認めなかった。 以上により, NM441は胆道感染症をはじめとする外科感染症の治療に有用であるといえる。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.44.Supplement1_462