Granulocyte-colony stimulating factor産生胃癌と考えられた1例

症例は55歳の男性. タール便, 全身倦怠感を主訴に来院した. 胃内視鏡検査および上部消化管造影X線検査にて胃体部小彎中心に3型進行胃癌を認めた. 術前の白血球数が18,610/mm3, G-CSF 76pg/mlと高値であった. 多発肝転移を認めたため, 根治切除は困難と診断され, 化学療法を施行した. 腫瘍より出血を認め止血困難のため2002年11月6日胃全摘術を施行した. 進行度はT3N3P0H3, stage IVであった. 病理組織学的診断はtub2, se, pm (-), dm (-), ly3, v3, n3, stage IVであった. 術後, 肝転移巣は増大し, G-CSF...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 11; pp. 1514 - 1519
Main Authors 加賀谷, 暁子, 遠藤, 正人, 久保嶋, 麻里, 阿久津, 泰典, 星野, 敏彦, 落合, 武徳, 角田, 洋三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2003
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.36.1514

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Summary:症例は55歳の男性. タール便, 全身倦怠感を主訴に来院した. 胃内視鏡検査および上部消化管造影X線検査にて胃体部小彎中心に3型進行胃癌を認めた. 術前の白血球数が18,610/mm3, G-CSF 76pg/mlと高値であった. 多発肝転移を認めたため, 根治切除は困難と診断され, 化学療法を施行した. 腫瘍より出血を認め止血困難のため2002年11月6日胃全摘術を施行した. 進行度はT3N3P0H3, stage IVであった. 病理組織学的診断はtub2, se, pm (-), dm (-), ly3, v3, n3, stage IVであった. 術後, 肝転移巣は増大し, G-CSF値も250pg/mlまで上昇し, 術後91病日に肝不全で死亡した. 本邦でのG-CSF産生胃癌は自験例が21例目であり, まれであった. また通常型胃癌とは特徴が異なり, 本邦報告例の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.36.1514