血中甲状腺ホルモンT3, rT3を指標とした肝硬変手術症例の術前, 術後栄養管理の効果に関する検討

肝硬変患者の低栄養状態, および術後の肝障害の増悪を軽減する目的で, 術前後に高カロリー栄養補給を施行し, 経口摂取のみの群と比較検討した.栄養補給は術前は自由経口摂取下に600~1,000Calを10日間, 術後は800~1,800Calを2週間中心静脈より施行した.活性型甲状腺ホルモンであるT3値は入院時の0.9±0.1ng/mlから栄養補給後1.3±0.1ng/mlと増加, 不活性型甲状腺ホルモンであるreverse T3 (rT3) 値は342±22pg/mlから297±33pg/mlへと低下した.また, 術後も経口摂取群でみられた著明なT3の持続的低下とrT3の増加で表現されるcat...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 23; no. 11; pp. 2538 - 2543
Main Authors 松野, 正紀, 松原, 修二, 大内, 清昭, 佐藤, 隆次, 三国, 潤一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1990
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.23.2538

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Summary:肝硬変患者の低栄養状態, および術後の肝障害の増悪を軽減する目的で, 術前後に高カロリー栄養補給を施行し, 経口摂取のみの群と比較検討した.栄養補給は術前は自由経口摂取下に600~1,000Calを10日間, 術後は800~1,800Calを2週間中心静脈より施行した.活性型甲状腺ホルモンであるT3値は入院時の0.9±0.1ng/mlから栄養補給後1.3±0.1ng/mlと増加, 不活性型甲状腺ホルモンであるreverse T3 (rT3) 値は342±22pg/mlから297±33pg/mlへと低下した.また, 術後も経口摂取群でみられた著明なT3の持続的低下とrT3の増加で表現されるcatabolismの亢進は栄養補給群で有意に抑制された.また, 術前栄養補給により肝蛋白合成能の指標であるprealbumin, レチノール結合蛋白も上昇し, 術後の低下も抑制された.術前後の高カロリー栄養管理は肝硬変手術例での低栄養状態および肝障害を改善し, 手術侵襲の軽減をはかることが可能であった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.23.2538