巣状線維化病変と胞隔炎を伴った肺胞蛋白症の1例

線維化病変と胞隔炎を伴った肺胞蛋白症の1例を報告した. 症例は, 62歳, 男性で, 若い頃から農業に従事し, 長い農薬散布歴があるが, 粉塵吸入歴はない. 50歳頃から労作時呼吸困難が出現し, 徐々に増強するため, 62年4月当科へ入院した. 入院時の胸部X線写真では, 両側肺野に不規則な浸潤影を認め, 胸部CTでも肺内に不規則な density の増強を認めた. TBLBでは, 線維化の所見しか得られなかったが, OLBによりPAS陽性物質を入れた肺胞と, 胞隔の細胞浸潤, 線維化を示す部位との混在が認められた. BALFのリン脂質組成はレシチンが大部分を占めた. 以上より病変の程度や分布...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 27; no. 10; pp. 1214 - 1220
Main Authors 鈴木, 栄一, 篠川, 真由美, 原口, 通比古, 荒川, 正昭, 小林, 理, 中村, 理, 山田, 聡, 丸山, 倫夫, 来生, 哲
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.10.1989
Subjects
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.27.1214

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Summary:線維化病変と胞隔炎を伴った肺胞蛋白症の1例を報告した. 症例は, 62歳, 男性で, 若い頃から農業に従事し, 長い農薬散布歴があるが, 粉塵吸入歴はない. 50歳頃から労作時呼吸困難が出現し, 徐々に増強するため, 62年4月当科へ入院した. 入院時の胸部X線写真では, 両側肺野に不規則な浸潤影を認め, 胸部CTでも肺内に不規則な density の増強を認めた. TBLBでは, 線維化の所見しか得られなかったが, OLBによりPAS陽性物質を入れた肺胞と, 胞隔の細胞浸潤, 線維化を示す部位との混在が認められた. BALFのリン脂質組成はレシチンが大部分を占めた. 以上より病変の程度や分布, 線維化病変を伴うことなど非定型的ではあるが, 肺胞蛋白症と診断した. さらに, 長い農薬散布歴が何らかの影響を与えて発症した可能性, 肺胞蛋白症と線維化との関連について考察し, 吸入性外因としての農薬については, 今後検討を要することを指摘した.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.27.1214