成人大網リンパ管腫の1切除例
症例は33歳の女性で, 腹部違和感を主訴に2003年6月当院を受診した. 既往で1歳9か月時に大網嚢胞腫摘出術を受けていた. 理学的所見では右上腹部に境界不明瞭で軟らかい腫瘤が3~4横指大に触知され, 腹部超音波検査, 腹部CTで右上腹部に嚢胞性腫瘍が認められた. 原発不明の嚢胞性腫瘍の診断にて手術を施行, 腫瘍は胃結腸間膜内に手拳大に透見され多房性を呈し, 内容は漿液性の液体であった. 隣接する他臓器との連続性はなく, 嚢腫を摘出した. 病理組織学的にリンパ管腫と診断された. 成人の大網リンパ管腫の発生はまれである. 本例では小児期に大網嚢腫の手術歴があり, 再発かまたは初発時と同様の機序で...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 10; pp. 1582 - 1585 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2006
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.39.1582 |
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Summary: | 症例は33歳の女性で, 腹部違和感を主訴に2003年6月当院を受診した. 既往で1歳9か月時に大網嚢胞腫摘出術を受けていた. 理学的所見では右上腹部に境界不明瞭で軟らかい腫瘤が3~4横指大に触知され, 腹部超音波検査, 腹部CTで右上腹部に嚢胞性腫瘍が認められた. 原発不明の嚢胞性腫瘍の診断にて手術を施行, 腫瘍は胃結腸間膜内に手拳大に透見され多房性を呈し, 内容は漿液性の液体であった. 隣接する他臓器との連続性はなく, 嚢腫を摘出した. 病理組織学的にリンパ管腫と診断された. 成人の大網リンパ管腫の発生はまれである. 本例では小児期に大網嚢腫の手術歴があり, 再発かまたは初発時と同様の機序で新たに発生した可能性が推察された. 30年以上経過後の再発は検索した範囲では報告がない. 再発防止を念頭においた処置が重要であると考えられた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.39.1582 |