小腸虚血・再灌流障害発生に関する実験的研究

近年, 小腸虚血・再灌流障害の発生因子として, 活性酸素が注目されている.著者らは, 血小板活性化因子 (PAF), ロイコトリエン (LTB4-C4) などのchemical mediatorも重要な因子と考え報告してきた.これらは再灌流後に活性酸素とともに粘膜障害を引き起こすが, 虚血中にも出現し何らかの障害を誘発すると考えている.そこで小腸虚血・再灌流犬を作製し, 内視鏡を用い虚血中より粘膜を経時的に観察するとともに, PAF, LTB4・C4を測定し検討した.小腸虚血中にPAFが組織中に増量し, 再灌流後門脈血中にPAF, LTB4・C4が出現した.内視鏡的観察では, 小腸虚血・再灌流...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 12; pp. 2256 - 2264
Main Authors 山形, 邦嘉, 原, 彰夫, 柴, 忠明, 竹内, 節夫, 池田, 正視, 上田, 一夫, 高木, 純人, 吉田, 宏重, 辻本, 志朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1995
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.28.2256

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Summary:近年, 小腸虚血・再灌流障害の発生因子として, 活性酸素が注目されている.著者らは, 血小板活性化因子 (PAF), ロイコトリエン (LTB4-C4) などのchemical mediatorも重要な因子と考え報告してきた.これらは再灌流後に活性酸素とともに粘膜障害を引き起こすが, 虚血中にも出現し何らかの障害を誘発すると考えている.そこで小腸虚血・再灌流犬を作製し, 内視鏡を用い虚血中より粘膜を経時的に観察するとともに, PAF, LTB4・C4を測定し検討した.小腸虚血中にPAFが組織中に増量し, 再灌流後門脈血中にPAF, LTB4・C4が出現した.内視鏡的観察では, 小腸虚血・再灌流障害は虚血とともにその準備状態が始まり, 再灌流によりさらに顕著なものとなった.一方, 高濃度酸素投与下虚血・再灌流では虚血中PAFの増量はなく粘膜障害も軽度であった.小腸虚血・再灌流の全経過を通じPAFの果たす役割は重要であることを強調したい.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.28.2256