4回の腹腔内再発を切除しえた胃平滑筋肉腫の1例
37歳の男性.左上腹部腫瘤と吐血を主訴に来院.消化管検索の後, 潰瘍形成を伴う胃外型平滑筋肉腫と診断し, 1983年2月15日胃癌に準じて胃亜全摘およびリンパ節郭清を行った.腫瘍は15×13×13cm大で弾性硬で薄い被膜を認め, 組織学的にも平滑筋肉腫と診断された.初回手術より9年1か月の間に2回の残胃近傍での局所再発, 回腸間膜への腹膜播種, 横隔膜下面への腹膜播種の計4回の再発を来し, それぞれ腫瘍摘出術, 回腸部分切除術, 横隔膜部分切除術が施行された.再発巣のうち最大のものは22×10×10cmで, すべての再発巣は組織学的にも平滑筋肉腫と診断された.再発の原因として手術操作による腫瘍...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 25; no. 12; pp. 2958 - 2962 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
1992
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.25.2958 |
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Summary: | 37歳の男性.左上腹部腫瘤と吐血を主訴に来院.消化管検索の後, 潰瘍形成を伴う胃外型平滑筋肉腫と診断し, 1983年2月15日胃癌に準じて胃亜全摘およびリンパ節郭清を行った.腫瘍は15×13×13cm大で弾性硬で薄い被膜を認め, 組織学的にも平滑筋肉腫と診断された.初回手術より9年1か月の間に2回の残胃近傍での局所再発, 回腸間膜への腹膜播種, 横隔膜下面への腹膜播種の計4回の再発を来し, それぞれ腫瘍摘出術, 回腸部分切除術, 横隔膜部分切除術が施行された.再発巣のうち最大のものは22×10×10cmで, すべての再発巣は組織学的にも平滑筋肉腫と診断された.再発の原因として手術操作による腫瘍細胞の散布が推察され, no touch isolation methodにて腫瘍を扱う配慮が再発を防ぐために必要と考えられた.また, 胃癌に比ベリンパ節転移が少ないことを考えれば切除可能な腹膜播種に対して積極的な外科的治療を行うことで, 予後の改善が期待されうる. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.25.2958 |