外科的治療を要した急性食道蜂窩織炎の1例
症例は43歳の男性で, 発熱, 黄疸, 嚥下困難を主訴に入院した. 高度炎症反応があり, 造影CTで胸部から腹部食道の全周性の壁肥厚と壁内低吸収域を認めた. 上部消化管内視鏡検査では食道壁は全周性に浮腫状であった. 血液培養でKlebsiella pneumoniaeが検出され, 急性食道蜂窩織炎と診断し, 抗菌薬による保存的治療を開始した. 第45病日には全身状態は改善し, 炎症所見もほぼ消退したが, 食道の狭窄, 嚥下痛のため経口摂取は不能であった. さらに, 保存的治療を継続したが, 第100病日経過後も, 食道狭窄, 嚥下痛が改善しなかったため, 第126病日, 右側結腸を用いた食道バ...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 10; pp. 1655 - 1660 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2007
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.40.1655 |
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Summary: | 症例は43歳の男性で, 発熱, 黄疸, 嚥下困難を主訴に入院した. 高度炎症反応があり, 造影CTで胸部から腹部食道の全周性の壁肥厚と壁内低吸収域を認めた. 上部消化管内視鏡検査では食道壁は全周性に浮腫状であった. 血液培養でKlebsiella pneumoniaeが検出され, 急性食道蜂窩織炎と診断し, 抗菌薬による保存的治療を開始した. 第45病日には全身状態は改善し, 炎症所見もほぼ消退したが, 食道の狭窄, 嚥下痛のため経口摂取は不能であった. さらに, 保存的治療を継続したが, 第100病日経過後も, 食道狭窄, 嚥下痛が改善しなかったため, 第126病日, 右側結腸を用いた食道バイパス術を施行した. 術後経過は順調で術後54日目に軽快退院した. 禁食および広域抗菌薬による保存的治療を行うも狭窄症状と嚥下痛が改善せず, 外科的治療を要した急性食道蜂窩織炎の1例を経験した. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.40.1655 |