先天性第V因子欠乏症を伴う結腸癌の1例

症例は71歳の女性で, 1999年4月頃から近医で貧血症と便潜血陽性を指摘され当科へ紹介された. 両親がいとこ同士の結婚であった. 注腸造影検査で肝彎曲部に陰影欠損像を認めた. 大腸内視鏡検査では肝彎曲部に1型腫瘍を認めた. 入院時検査所見ではプロトロンビン時間 (PT) 22.8秒 (23.5%), 活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) 58.1秒と延長していた. 出血時間は2分, ヘパプラスチンテストは98.8%と問題なかった. 第V因子活性は9%と低下していた. 先天性第V因子欠乏症を伴う結腸癌と診断した. 新鮮凍結血漿 (FFP) を6単位輸注し, 第V因子活性を29%まで改...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 11; pp. 1626 - 1629
Main Authors 山口, 和哉, 平林, 直樹, 坂田, 好史, 三島, 秀雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2003
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.36.1626

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Summary:症例は71歳の女性で, 1999年4月頃から近医で貧血症と便潜血陽性を指摘され当科へ紹介された. 両親がいとこ同士の結婚であった. 注腸造影検査で肝彎曲部に陰影欠損像を認めた. 大腸内視鏡検査では肝彎曲部に1型腫瘍を認めた. 入院時検査所見ではプロトロンビン時間 (PT) 22.8秒 (23.5%), 活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) 58.1秒と延長していた. 出血時間は2分, ヘパプラスチンテストは98.8%と問題なかった. 第V因子活性は9%と低下していた. 先天性第V因子欠乏症を伴う結腸癌と診断した. 新鮮凍結血漿 (FFP) を6単位輸注し, 第V因子活性を29%まで改善させ結腸右半切除術を施行した. 術後もFFPを20単位輸注し, 後出血をきたさず, 術後経過は良好であった. 先天性第V因子欠乏症は日常の出血症状が軽微なことから未診断の症例があるため, 凝固機能検査の異常から, 本症も考慮しなくてはならない.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.36.1626