耳前部に発生した原発巣不明の悪性黒色腫の1例

症例は71歳男性, 耳前部腫瘤を主訴として来院した。穿刺吸引細胞診はclassIIで, echo, MRIでは耳下腺多形腺腫が疑われたが, その後急速に増大するため, 再度施行した穿刺吸引細胞診ではclassVであり, 確定診断目的に施行した生検では肉腫の診断であった。その後に腫瘍摘出術を施行し, 免疫染色を用いた病理組織にてS-100蛋白陽性, マッソン・フォンタナ染色でメラニン顆粒が染色され悪性黒色腫 (無色素性黒色腫) と診断された。悪性黒色腫のリンパ節転移と考え, 原発巣検索を行ったが明らかなものは認められなかった。我々は化学療法を行う必要があると考えたが家族が希望せず追加治療は行わな...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 44; no. 1; pp. 38 - 42
Main Authors 島田, 士郎, 内水, 浩貴, 櫻井, 裕, 宇田川, 友克, 佐藤, 英明, 岩井, 久幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.02.2001
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.44.38

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Summary:症例は71歳男性, 耳前部腫瘤を主訴として来院した。穿刺吸引細胞診はclassIIで, echo, MRIでは耳下腺多形腺腫が疑われたが, その後急速に増大するため, 再度施行した穿刺吸引細胞診ではclassVであり, 確定診断目的に施行した生検では肉腫の診断であった。その後に腫瘍摘出術を施行し, 免疫染色を用いた病理組織にてS-100蛋白陽性, マッソン・フォンタナ染色でメラニン顆粒が染色され悪性黒色腫 (無色素性黒色腫) と診断された。悪性黒色腫のリンパ節転移と考え, 原発巣検索を行ったが明らかなものは認められなかった。我々は化学療法を行う必要があると考えたが家族が希望せず追加治療は行わなかった。原発巣不明の原因として原発巣の自然消褪説が有力視されており, 我々の症例でも耳前部リンパ節転移後に原発巣が自然消槌した可能性が考えられた。今後頸部リンパ節や肺などへの転移が発症する可能性があり, 頸部CTや胸部CTなどの精査を定期的に行っていく必要があると考える。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.44.38