経鼠径ヘルニア嚢による腹腔鏡下イレウス解除術の1例

右鼠径ヘルニア嚢より腹腔鏡下イレウス解除術を施行した1例を報告した. 症例は68歳の男性. 嘔気, 下痢にて受診し内服加療受けるも改善せず再受診した. 腹部単純X線写真にてイレウスと診断し入院となる. 同時に右鼠径ヘルニア脱出を認めたが用手整復可能であった. 保存的療法にて小腸ガスは軽減したが, 完全には消失しなかった. 手術は右鼠径ヘルニア根治術とともに, 右鼠径ヘルニア嚢から12mmと5mmのトロカーを2本挿入し, 気腹法にて腹腔鏡にて観察したところ, 臍下部に臍腸管索と思われる索状物を認め, 同部を凝固, 切断した. 鼠径ヘルニアとイレウスを合併した症例に対し, 鼠径ヘルニア嚢からトロカ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 11; pp. 1759 - 1762
Main Authors 太田, 喜洋, 小柳, 泰久, 青木, 利明, 斉藤, 勝正, 一宮, 博勝, 青木, 達哉, 原, 知憲, 河野, 守男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2002
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.35.1759

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Summary:右鼠径ヘルニア嚢より腹腔鏡下イレウス解除術を施行した1例を報告した. 症例は68歳の男性. 嘔気, 下痢にて受診し内服加療受けるも改善せず再受診した. 腹部単純X線写真にてイレウスと診断し入院となる. 同時に右鼠径ヘルニア脱出を認めたが用手整復可能であった. 保存的療法にて小腸ガスは軽減したが, 完全には消失しなかった. 手術は右鼠径ヘルニア根治術とともに, 右鼠径ヘルニア嚢から12mmと5mmのトロカーを2本挿入し, 気腹法にて腹腔鏡にて観察したところ, 臍下部に臍腸管索と思われる索状物を認め, 同部を凝固, 切断した. 鼠径ヘルニアとイレウスを合併した症例に対し, 鼠径ヘルニア嚢からトロカーを挿入して行う腹腔鏡下イレウス解除術は, 腹壁切開や穿刺を伴うことなく手術できることから, 有効なアプローチ法と考えられる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.35.1759