原発性肝癌に対する肝動脈塞栓術併用肝切除の検討

原発性肝細胞癌10例に対して, TAE併用肝切除を行った.手術死亡2例を除く8例中5例が2年を経過して生存中であるが, 3例が再発死亡した.TAEの有効性をみるために, TAE後早期に他病死した2例の剖検例を加えた12例の肝を組織学的に検索した.TAEにて主腫瘍の中心部には強い壊死がみられたが, 被膜外浸潤, 門脈内腫瘍栓, 娘結節には効き難かった.しかし, 塞栓物質を細くしてより末梢まで塞栓したり, 徐放性の抗癌剤を用いたchemo-embolizationを行ったり, さらに, TAEの回数を増した例には有効例がみられた.したがって, TAE併用肝切除による肝癌の治療成績の向上には, TA...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 19; no. 11; pp. 2222 - 2226
Main Authors 山田, 隆平, 八十川, 要平, 藤井, 秀治, 中田, 俊則, 伊藤, 新一郎, 古川, 正人, 千葉, 憲哉, 瀬戸口, 正幸, 永田, 寿礼, 前田, 滋, 酒井, 敦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1986
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.19.2222

Cover

More Information
Summary:原発性肝細胞癌10例に対して, TAE併用肝切除を行った.手術死亡2例を除く8例中5例が2年を経過して生存中であるが, 3例が再発死亡した.TAEの有効性をみるために, TAE後早期に他病死した2例の剖検例を加えた12例の肝を組織学的に検索した.TAEにて主腫瘍の中心部には強い壊死がみられたが, 被膜外浸潤, 門脈内腫瘍栓, 娘結節には効き難かった.しかし, 塞栓物質を細くしてより末梢まで塞栓したり, 徐放性の抗癌剤を用いたchemo-embolizationを行ったり, さらに, TAEの回数を増した例には有効例がみられた.したがって, TAE併用肝切除による肝癌の治療成績の向上には, TAEの方法や塞栓物質の改良が必要であると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.19.2222