漿液性膵嚢胞腺腫に膵頭部癌を合併した1例
症例は72歳の男性で, 検診目的の腹部USで膵頭部に3cm径の腫瘤を指摘された. 腹部CT・MRCP・ERCPでは多血性で主膵管と交通のない微小嚢胞からなる腫瘤で漿液性膵嚢胞腫瘍 (serous cystic tumor; 以下, SCT) と診断した. また, MRCPでSCTと離れた膵頭体部主膵管に狭窄を認め, ERCP時に細胞診を施行したがclass IIであった. 腹部Dynamic-CT上は狭窄部に一致して膵頭体部2×1cmの範囲が早期相でlow densityを呈し後期相で淡く造影され膵癌合併の可能性が示唆された. Positron emmision tomography/CTでは...
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| Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 10; pp. 1821 - 1826 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2008
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI | 10.5833/jjgs.41.1821 |
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| Summary: | 症例は72歳の男性で, 検診目的の腹部USで膵頭部に3cm径の腫瘤を指摘された. 腹部CT・MRCP・ERCPでは多血性で主膵管と交通のない微小嚢胞からなる腫瘤で漿液性膵嚢胞腫瘍 (serous cystic tumor; 以下, SCT) と診断した. また, MRCPでSCTと離れた膵頭体部主膵管に狭窄を認め, ERCP時に細胞診を施行したがclass IIであった. 腹部Dynamic-CT上は狭窄部に一致して膵頭体部2×1cmの範囲が早期相でlow densityを呈し後期相で淡く造影され膵癌合併の可能性が示唆された. Positron emmision tomography/CTでは主膵管狭窄部に有意な集積を認めず, SCT部にて軽度集積を認めるもmaximum standardized uptake valueは早期2.93/後期2.21で悪性パターンを示さなかった. 平成18年11月膵頭部十二指腸切除術を施行したところ, 漿液性膵嚢胞腺腫 (serous cystic adenoma; 以下, SCA) と1.5cm径の膵癌を上記CT部位に一致して認めた. 今回, SCAに膵癌を合併した極めてまれな症例を経験したので報告した. |
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| ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
| DOI: | 10.5833/jjgs.41.1821 |