ウサギ大脳皮質咀嚼野電気刺激により誘発された咀嚼様運動時の作業側顎関節における下顎頭と関節円板の協調運動
目的:関節円板前方転位のような関節円板の位置異常が,関節円板と下顎頭の協調運動の破綻の結果と考えると,関節円板と下顎頭の運動を協調させているメカニズムを解明することは,関節円板前方転位の発症原因を解明することにつながると考えられる。本研究の目的は,咀嚼運動中の下顎頭と関節円板を観察することにより,静的な特定の下顎位における位置関係ではなく,機能運動時の下顎頭と円板の協調機構を明らかにすることである。 方法:ハロタン麻酔下のウサギ大脳皮質咀嚼野の電気刺激で咀嚼様運動を誘発し,咬筋筋電図,切歯点運動,作業側下顎頭および関節円板の運動の同時記録を行った。 結果:下顎頭前方点の運動経路は上下方向に狭く...
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Published in | 日本顎関節学会雑誌 Vol. 24; no. 3; pp. 157 - 167 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本顎関節学会
2012
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Subjects | |
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ISSN | 0915-3004 1884-4308 |
DOI | 10.11246/gakukansetsu.24.157 |
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Summary: | 目的:関節円板前方転位のような関節円板の位置異常が,関節円板と下顎頭の協調運動の破綻の結果と考えると,関節円板と下顎頭の運動を協調させているメカニズムを解明することは,関節円板前方転位の発症原因を解明することにつながると考えられる。本研究の目的は,咀嚼運動中の下顎頭と関節円板を観察することにより,静的な特定の下顎位における位置関係ではなく,機能運動時の下顎頭と円板の協調機構を明らかにすることである。 方法:ハロタン麻酔下のウサギ大脳皮質咀嚼野の電気刺激で咀嚼様運動を誘発し,咬筋筋電図,切歯点運動,作業側下顎頭および関節円板の運動の同時記録を行った。 結果:下顎頭前方点の運動経路は上下方向に狭く直線的であった。これは咀嚼運動中,関節円板を挟んで運動し安定した関係を維持していることを示すものと考えられた。咀嚼運動中,関節円板は関節結節に沿って運動していたが,咬合相の初期にはわずかに前方に突出する運動が認められた。これは咬筋活動による張力のピークと同じタイミングで生じており,このタイミングで円板は下顎頭から咬合力による圧縮力を受けていることが推察された。一方,咀嚼様運動中に関節円板の明らかな変形は認められなかった。 |
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ISSN: | 0915-3004 1884-4308 |
DOI: | 10.11246/gakukansetsu.24.157 |