股関節外転筋力が大きい側のみにトレンデレンブルグ徴候を認めた両変形性股関節症患者2例 筋力評価の再検討

股関節外転筋力が大きい側のみにトレンデレンブルグ徴候(T徴候)を認めた両変形性股関節症患者2例について,その原因を考察するとともに,これらの症例を通して関節疾患患者の筋力評価について再検討した。 股関節の周囲筋力,可動域,X線像を評価した結果,これら2症例のT徴候の原因は,反対側と比較して,T徴候を認めた側に大腿骨頸部の外反と大腿骨頭の著しい上外方移動を認め,片脚起立時に外転筋力が骨盤を水平位に保てないほどに,体重によって生じるモーメントが増加していたためであると考えられた。 今後,関節疾患患者の筋力を評価する場合には,測定によって得られた値の大小を評価するばかりでなく,一つの運動課題を遂行す...

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Published in理学療法学 Vol. 19; no. 2; pp. 103 - 108
Main Author 坂本, 年将
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 10.03.1992
公益社団法人日本理学療法士協会
Japanese Physical Therapy Association (JPTA)
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.KJ00003127042

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Summary:股関節外転筋力が大きい側のみにトレンデレンブルグ徴候(T徴候)を認めた両変形性股関節症患者2例について,その原因を考察するとともに,これらの症例を通して関節疾患患者の筋力評価について再検討した。 股関節の周囲筋力,可動域,X線像を評価した結果,これら2症例のT徴候の原因は,反対側と比較して,T徴候を認めた側に大腿骨頸部の外反と大腿骨頭の著しい上外方移動を認め,片脚起立時に外転筋力が骨盤を水平位に保てないほどに,体重によって生じるモーメントが増加していたためであると考えられた。 今後,関節疾患患者の筋力を評価する場合には,測定によって得られた値の大小を評価するばかりでなく,一つの運動課題を遂行するために必要な筋力値を求め,それとの比較を行い,能力障害の評価へと結びつけられるべきであろう。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00003127042