白神山地における大気環境中ガス状物質濃度とその特徴

秋田県と青森県の県境に位置する白神山地の世界自然遺産登録地域内における標高約1000m地点で, 大気汚染ガス状物質と地球温暖化に影響を及ぼす温室効果ガス状物質およびフロン類の測定を実施した。 観測期間中のSO2, NOおよびNO2濃度は, 不検出か, 検出されても定量下限値以下で, 白神山地の大気質は, 比較的広くみた周辺地域からの汚染物質の影響は認められなかった。これらの値は, これまでわが国で行われたバックグランド地域での調査結果および世界各地における大気中窒素酸化物のバックグランド濃度と比較しても低いレベルにあり, 白神山地の大気質は, 日本国内はもとより, 世界的にみても, 陸地として...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 32; no. 4; pp. 315 - 322
Main Authors 平野, 耕一郎, 児玉, 仁, 斉藤, 勝美
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 1997
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ISSN1341-4178
2185-4335
DOI10.11298/taiki1995.32.4_315

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Summary:秋田県と青森県の県境に位置する白神山地の世界自然遺産登録地域内における標高約1000m地点で, 大気汚染ガス状物質と地球温暖化に影響を及ぼす温室効果ガス状物質およびフロン類の測定を実施した。 観測期間中のSO2, NOおよびNO2濃度は, 不検出か, 検出されても定量下限値以下で, 白神山地の大気質は, 比較的広くみた周辺地域からの汚染物質の影響は認められなかった。これらの値は, これまでわが国で行われたバックグランド地域での調査結果および世界各地における大気中窒素酸化物のバックグランド濃度と比較しても低いレベルにあり, 白神山地の大気質は, 日本国内はもとより, 世界的にみても, 陸地としては清浄な地域と考えられた。ニツ森展望台のO3は, 大気の清浄な山岳地域において観測したO3濃度とほぼ一致し, 季節的な変動も同様な傾向にあった。このO3濃度の大部分は, 成層圏からの沈降とされているバックグランドオゾンであると考えられた。 CO2以外は日変動や季節による違いはみられなかったが, CO2は日変動と季節による濃度変動があった。これらは, ブナ林を主体とした広葉樹林の光合成作用によるところが大きいと考えられた。今回, ニツ森展望台で行ったCO2, CH4, N20およびフロン類の測定は, ステンレスキャニスターで空気を採取して測定するスポット的な調査であるが, 気象庁が綾里で行っている連続観測値 (月平均値) と比較すると, いずれの物質ともやや低い値であった。また, 東京都におけるモニタリング結果と比較してみると, CO2, フロン類ともモニタリング測定値の最小値と同程度かやや低い値であった。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki1995.32.4_315