腺上皮由来を示す組織像を有する頸部食道spindle cell carcinomaの1例
偽肉腫は肉腫様成分からなるポリープ状の腫瘍で, 基部に癌腫を伴い, その多くは上皮内癌あるいは比較的早期の癌にとどまっている.この偽肉腫に類似した食道腫瘍であるが扁平上皮癌を伴っておらず, spindle cell carcinomaと診断された1症例を報告する. 腫瘤は頸部食道左壁に茎を有し, 胸部食道Imに達する19.0×7.5cmの巨大なポリープで, 気管を強く圧迫していた.このため呼吸困難は次第に著しくなり, 緊急手術にて頸部切開創より腫瘍を食道壁とともに切除した.腫瘍組織の一部には, PASおよびアルシアンブルーに染まった粘液を含む腺管構造が認められ, 腫瘍細胞は腺上皮由来であると考...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 26; no. 4; pp. 1023 - 1027 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
1993
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.26.1023 |
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Summary: | 偽肉腫は肉腫様成分からなるポリープ状の腫瘍で, 基部に癌腫を伴い, その多くは上皮内癌あるいは比較的早期の癌にとどまっている.この偽肉腫に類似した食道腫瘍であるが扁平上皮癌を伴っておらず, spindle cell carcinomaと診断された1症例を報告する. 腫瘤は頸部食道左壁に茎を有し, 胸部食道Imに達する19.0×7.5cmの巨大なポリープで, 気管を強く圧迫していた.このため呼吸困難は次第に著しくなり, 緊急手術にて頸部切開創より腫瘍を食道壁とともに切除した.腫瘍組織の一部には, PASおよびアルシアンブルーに染まった粘液を含む腺管構造が認められ, 腫瘍細胞は腺上皮由来であると考えられた.このような食道腫瘍の報告は本邦の文献上では最初のものと思われる.その後26か月間に2回の局所再発を生じ, 3回目の手術で下咽頭, 喉頭切除, 遊離小腸移植により頸部食道を再建し, 以後13か月間, 健在である. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.26.1023 |