高血圧を有する血液透析患者におけるcilazaprilの臨床効果と体内動態についての検討

高血圧を伴う維持血液透析患者7例に長時間作用型アンジオテンシン転換酵素 (ACE) 阻害薬, cilazaprilを投与し, その効果と体内動態について検討した. 透析日, 非透析日それぞれにcilazapril, 0.5mgを単回投与し血圧, cilazaprilおよびその代謝活性体cilazaprilatの血中濃度, 血清ACE活性, 血漿レニン活性, アンジオテンシンI, II (AI, AII) 濃度を測定した。 血圧はcilazaprilの投与により透析日, 非透析日ともに有意に低下した. Cilazaprilの代謝活性体, cilazaprilatの最高血中濃度 (Cmax), 最...

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 7; pp. 1281 - 1286
Main Authors 韓, 榮新, 大野, 良興, 稲荷場, ひろみ, 田中, 寛, 吉本, 充, 竹垣, 嘉訓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.07.1993
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.26.1281

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Summary:高血圧を伴う維持血液透析患者7例に長時間作用型アンジオテンシン転換酵素 (ACE) 阻害薬, cilazaprilを投与し, その効果と体内動態について検討した. 透析日, 非透析日それぞれにcilazapril, 0.5mgを単回投与し血圧, cilazaprilおよびその代謝活性体cilazaprilatの血中濃度, 血清ACE活性, 血漿レニン活性, アンジオテンシンI, II (AI, AII) 濃度を測定した。 血圧はcilazaprilの投与により透析日, 非透析日ともに有意に低下した. Cilazaprilの代謝活性体, cilazaprilatの最高血中濃度 (Cmax), 最高血中濃度到達時間 (Tmax) は非透析日では21.4±4.1ng/ml, 18.3±2.7hであり, 透析日では14.0±4.7ng/ml, 11.2±3.4hであった. Cilazaprilatの半減期は28.6hと排泄の遅延が著明であるが, 透析中の半減期は3.4hと短縮していた. 上記の薬行力学的パラメータを用いて, cilazapril, 0.5mgを-週間反復投与し, 2日に-度透析を行った場合を想定して求めたシミュレーションではcilazaprilatの有効血中濃度は保たれ, 過度の蓄積はみられないと予測された. したがって透析患者にcilazaprilを投与する際は, 0.5mgを一日一回投与することが適当と考えられる. 血清ACE活性は薬剤投与後, 6時間より24時間にわたって80%以上抑制された. しかし, 血漿レニン活性, 血漿AI, AII濃度にはcilazapril, 0.5mg単回投与では有意な変化はみられず, cilazaprilの降圧効果は血中のレニン・アンジオテンシン系よりもむしろ組織のレニン・アンジオテンシン系を抑制することによる可能性が示唆された.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.26.1281