頭頂葉性純粋失書の書字障害の分析 2症例での検討
頭頂葉性純粋失書2症例の書字障害の特徴を詳細に検討し,書字障害の発現機序について考察した.症例は66歳,右利き男性および50歳,右利き男性.いずれも左頭頂葉の限局性梗塞病変例である.書字障害の検討は(1)漢字と仮名の正答率の変化を,漢字では同一単語,仮名では清音の同一文字を用いて経時的に検討した.(2)漢字と仮名の一文字書き取りにおける誤反応を,誤りの性質によって分類し,検討した.その結果,(1)漢字・仮名のいずれにも障害がみられ,経時的には同様に改善した.(2)誤反応は,漢字では存在字近似反応,仮名では置換が多く認められた.存在字近似反応と置換には,漢字・仮名のいずれにおいても正答字と形態が...
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          | Published in | 聴能言語学研究 Vol. 6; no. 1; pp. 28 - 34 | 
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| Main Authors | , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本コミュニケーション障害学会
    
        30.04.1989
     | 
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| ISSN | 0912-8204 1884-7056  | 
| DOI | 10.11219/jjcomdis1983.6.28 | 
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| Summary: | 頭頂葉性純粋失書2症例の書字障害の特徴を詳細に検討し,書字障害の発現機序について考察した.症例は66歳,右利き男性および50歳,右利き男性.いずれも左頭頂葉の限局性梗塞病変例である.書字障害の検討は(1)漢字と仮名の正答率の変化を,漢字では同一単語,仮名では清音の同一文字を用いて経時的に検討した.(2)漢字と仮名の一文字書き取りにおける誤反応を,誤りの性質によって分類し,検討した.その結果,(1)漢字・仮名のいずれにも障害がみられ,経時的には同様に改善した.(2)誤反応は,漢字では存在字近似反応,仮名では置換が多く認められた.存在字近似反応と置換には,漢字・仮名のいずれにおいても正答字と形態が類似した誤りが多くみられた.これらの結果から,頭頂葉性純粋失書には,聴覚心像と視覚心像および聴覚心像と運動覚心像との連合の障害が存在すること,また,同時に運動覚心像から書字動作の実現の過程での障害がある可能性が示唆された. | 
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| ISSN: | 0912-8204 1884-7056  | 
| DOI: | 10.11219/jjcomdis1983.6.28 |