小腸皮膚瘻を形成した結核性腹膜炎の1例

症例は55歳の男性で, 発熱, 右側腹部の発赤, 疼痛を訴え来院した. 来院時, WBC 13,900/μl, CRP 27.7mg/dlと炎症反応が上昇し, CTにて右側腹部に10×6×5cmの内部が不均一な嚢胞性病変を認め, 周囲脂肪織への炎症の波及が疑われ入院となった. 入院翌日には自潰し多量に排膿があったが, 抗生剤にて炎症反応は改善し, 8日後に排膿は消失し退院となった. しかし, 13日後再度自潰し, 瘻孔造影にて小腸が造影されたため手術を施行した. 腹腔内にφ2-3mmの白色小結節とムチン状腹水, 右側腹部に癒着を認めた. 診断不能のためムチン状粘液と小結節を採取したのみで閉腹し...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 8; pp. 1525 - 1530
Main Authors 立花, 光夫, 上田, 邦彦, 小串, 伊知郎, 松下, 一行, 西, 健, 矢野, 誠司, 平原, 典幸, 川畑, 康成, 稲尾, 瞳子, 田中, 恒夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2007
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.40.1525

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Summary:症例は55歳の男性で, 発熱, 右側腹部の発赤, 疼痛を訴え来院した. 来院時, WBC 13,900/μl, CRP 27.7mg/dlと炎症反応が上昇し, CTにて右側腹部に10×6×5cmの内部が不均一な嚢胞性病変を認め, 周囲脂肪織への炎症の波及が疑われ入院となった. 入院翌日には自潰し多量に排膿があったが, 抗生剤にて炎症反応は改善し, 8日後に排膿は消失し退院となった. しかし, 13日後再度自潰し, 瘻孔造影にて小腸が造影されたため手術を施行した. 腹腔内にφ2-3mmの白色小結節とムチン状腹水, 右側腹部に癒着を認めた. 診断不能のためムチン状粘液と小結節を採取したのみで閉腹した. 病理組織学的検査にて結核菌は認めないが, 一部壊死を伴った類上皮細胞からなる結節性病変を認め, 腸結核を疑い大腸内視鏡を施行した. 回盲部から類上皮細胞肉芽腫, ラングハンス型巨細胞を認めたため腸結核の診断にて治療開始し, 約2週間後に瘻孔は閉鎖した. 腸結核は多彩な病像を呈することがあり注意を要する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.40.1525