胃全摘後空腸pouch再建の有用性

胃全摘術後患者の愁訴の大部分をしめる胸やけ, 食事摂取量の不足, 体重減少を解決する目的で空腸嚢を用いたpouch-Y吻合法を12例に施行した.従来のρ-Roux-Y吻合法を施行した15例を対照として, 術後の愁訴, 食事摂取量, 体重の変動, 赤血球数, total protein (TP), albumin (ALB), cholesterol (CHO), triglyceride (TG) の変化を比較検討した.その結果, pouch-Y法では対照群に比べて胸やけ, 動悸や下痢が少なく, 1回食事量が多く, 術後の体重の回復が有意に良好であった.赤血球数, TP, ALB, CHO,...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 27; no. 9; pp. 2093 - 2098
Main Authors 足立, 信也, 河島, 孝彦, 石川, 智義, 尾崎, 梓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1994
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.27.2093

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Summary:胃全摘術後患者の愁訴の大部分をしめる胸やけ, 食事摂取量の不足, 体重減少を解決する目的で空腸嚢を用いたpouch-Y吻合法を12例に施行した.従来のρ-Roux-Y吻合法を施行した15例を対照として, 術後の愁訴, 食事摂取量, 体重の変動, 赤血球数, total protein (TP), albumin (ALB), cholesterol (CHO), triglyceride (TG) の変化を比較検討した.その結果, pouch-Y法では対照群に比べて胸やけ, 動悸や下痢が少なく, 1回食事量が多く, 術後の体重の回復が有意に良好であった.赤血球数, TP, ALB, CHO, TGの諸検査値には有意差がなかった.経過観察期間は術後18か月であり, 術後早期においてpouch-Y法は栄養学的に, また患者のquality of lifeにおいても満足できる再建法であることが確認された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.27.2093