術前肝機能と肝切除量の原発性肝細胞癌術後長期遠隔成績への影響

手術治療を行った単発の原発性肝細胞癌534例を対象として術後10年間の生存曲線, 無再発生存曲線を生存分析パラメトリックモデルへ当てはめた. 3年-5年-10年の生存率, 無再発生存率はそれぞれ76-60-34%, 46-32-16%であった. ワイブルモデルあるいは対数ロジスティックモデルが生存曲線, 無再発生存曲線をよく説明することが明らかとなった. 生存曲線に影響を及ぼす有意な因子は術前ICG R15値と腫瘍径であり, 術前ICG R15値が低値で, 腫瘍径の小さなものほど良好な生存率が期待された. 無再発生存曲線については術前ICG R15値, 腫瘍径, 切除区域であり, 術前ICG...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 1054 - 1058
Main Authors 大坪, 毅人, 小林, 秀規, 片桐, 聡, 次田, 正, 福田, 千文, 鈴木, 隆文, 竹並, 和之, 高崎, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1999
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.32.1054

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Summary:手術治療を行った単発の原発性肝細胞癌534例を対象として術後10年間の生存曲線, 無再発生存曲線を生存分析パラメトリックモデルへ当てはめた. 3年-5年-10年の生存率, 無再発生存率はそれぞれ76-60-34%, 46-32-16%であった. ワイブルモデルあるいは対数ロジスティックモデルが生存曲線, 無再発生存曲線をよく説明することが明らかとなった. 生存曲線に影響を及ぼす有意な因子は術前ICG R15値と腫瘍径であり, 術前ICG R15値が低値で, 腫瘍径の小さなものほど良好な生存率が期待された. 無再発生存曲線については術前ICG R15値, 腫瘍径, 切除区域であり, 術前ICG R15値が低値, 腫瘍径の小さなもの, 切除区域の大きな症例ほど長期の無再発が期待される結果となった. 切除域の拡大は無再発期間の延長に繁がるが, 長期の生存には切除域の拡大は影響せず, 肝機能が良好であることがむしろ重要であり, 切除と肝機能温存のバランスを取ることの重要性が再確認された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.32.1054