DICを合併した直腸カルチノイド同時性巨大肝転移の1例
症例は65歳の男性で, 検診にて肝障害を指摘されて当院へ紹介され, 腹部CT にて肝左葉に巨大腫瘍を認めた.さらに, 大腸内視鏡検査では直腸に粘膜下腫瘍を認め, 生検結果はカルチノイドであった.直腸カルチノイド同時性肝転移の診断にて入院後, 血液検査にて著明な血小板減少, FDPの上昇を認め, 厚生労働省の播種性血管内血液凝固症候群 (DIC) 診断基準を満たしたため抗凝固療法を開始した.その後, 血小板は上昇, FDPは低下したが巨大肝腫瘍が原因によりDICを来したと考えられたため, 入院4週間後, 血小板が16万/μl に上昇した時点で肝切除術を施行, 病理はカルチノイド肝転移であった.肝...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 8; pp. 1440 - 1445 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2006
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.39.1440 |
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Summary: | 症例は65歳の男性で, 検診にて肝障害を指摘されて当院へ紹介され, 腹部CT にて肝左葉に巨大腫瘍を認めた.さらに, 大腸内視鏡検査では直腸に粘膜下腫瘍を認め, 生検結果はカルチノイドであった.直腸カルチノイド同時性肝転移の診断にて入院後, 血液検査にて著明な血小板減少, FDPの上昇を認め, 厚生労働省の播種性血管内血液凝固症候群 (DIC) 診断基準を満たしたため抗凝固療法を開始した.その後, 血小板は上昇, FDPは低下したが巨大肝腫瘍が原因によりDICを来したと考えられたため, 入院4週間後, 血小板が16万/μl に上昇した時点で肝切除術を施行, 病理はカルチノイド肝転移であった.肝左葉切除後, 凝固系は著明に改善し正常となった.さらに, その4か月後に直腸カルチノイドに対して低位前方切除術を施行した.DICを併発した巨大肝腫瘍の手術は大量出血の可能性があるため, 十分な検討が必要である. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.39.1440 |