初代培養肝細胞のエンドトキシンに対する膜脂質過酸化反応 特にKupffer細胞の関与について

エンドトキシン血症における肝障害機序を解明する目的で初代培養肝細胞とKupffer細胞との混合培養系を確立し,肝細胞膜の特異的過酸化物であるphosphatidylcholine hydroperoxide (PCOOH)を測定した.PCOOHは肝細胞単独培養群ではLPSを添加しても増加せず,混合培養群にLPSを添加した時のみ増加を認めた.またこの時蛋白合成能の低下や上清中に肝逸脱酵素の上昇もみられた.さらに混合培養系に各種のscavengerを投与した場合catalase優位のPCOOH増加の抑制が認められ,上清中逸脱酵素も有意の低下を認めた.すなわち,肝細胞膜脂質過酸化反応はエンドトキシン...

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Published in肝臓 Vol. 35; no. 8; pp. 601 - 608
Main Authors 松野, 正紀, 伊藤, 浩司, 福原, 賢治, 武藤, 大成, 遠藤, 公人, 鈴木, 正徳, 大内, 清昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.08.1994
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.35.601

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Summary:エンドトキシン血症における肝障害機序を解明する目的で初代培養肝細胞とKupffer細胞との混合培養系を確立し,肝細胞膜の特異的過酸化物であるphosphatidylcholine hydroperoxide (PCOOH)を測定した.PCOOHは肝細胞単独培養群ではLPSを添加しても増加せず,混合培養群にLPSを添加した時のみ増加を認めた.またこの時蛋白合成能の低下や上清中に肝逸脱酵素の上昇もみられた.さらに混合培養系に各種のscavengerを投与した場合catalase優位のPCOOH増加の抑制が認められ,上清中逸脱酵素も有意の低下を認めた.すなわち,肝細胞膜脂質過酸化反応はエンドトキシンにより活性化されたKupffer細胞が放出するoxygen free radicalが関与しており,組織障害の強さの点からもヒドロキシラジカルが本反応のtriggerとなっている可能性が強く示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.35.601