高度進行大腸癌の治療

大腸癌は手術的切除により最も治療効果の上がる腫瘍である. その遠隔成績は, 何らかの非治癒因子を併存し, かつそれが摘出し得た根治度B症例においても他の消化器固形癌stage IIIと同様である. この意味において手術は正確な術中判断と可及的に腫瘍を摘出する努力が重要である. 根治度Cを根治度BにするDown Stagingの工夫として, 切除不能肝転移に対して持続動注後奏効例に肝切除を行っているが, 現在までに3生率45%と良好な成績である. さらにたとえ根治度Bであっても患者の術後QOLに対する配慮は必要であり, 高度進行癌に対する手術だけに困難ではあるが, 直腸癌への自律神経温存や, 十...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 8; pp. 1885 - 1889
Main Author 森, 武生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1997
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.30.1885

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Summary:大腸癌は手術的切除により最も治療効果の上がる腫瘍である. その遠隔成績は, 何らかの非治癒因子を併存し, かつそれが摘出し得た根治度B症例においても他の消化器固形癌stage IIIと同様である. この意味において手術は正確な術中判断と可及的に腫瘍を摘出する努力が重要である. 根治度Cを根治度BにするDown Stagingの工夫として, 切除不能肝転移に対して持続動注後奏効例に肝切除を行っているが, 現在までに3生率45%と良好な成績である. さらにたとえ根治度Bであっても患者の術後QOLに対する配慮は必要であり, 高度進行癌に対する手術だけに困難ではあるが, 直腸癌への自律神経温存や, 十二指腸, 膀胱などの広範囲欠損に対しての小腸augmentationを積極的に行って良好な成績を収めている.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.30.1885