開心術後縦隔炎の治療とその予防について 骨ロウの使用が縦隔炎に及ぼす影響

胸骨正中切開のアプローチによる心臓外科手術338例のうち, 初期の233例には胸骨切開時に骨ロウを使用したが, 7例 (3.0%) の縦隔炎が発生した. 7例のうち6例の縦隔炎に対しては, 創部開放洗浄ののちに大網を充填するという治療を行った. これら6例において全例とも縦隔炎は治癒したが, 1例のみ脳梗塞, 肺炎のために失った. この反省から, その後の105例には骨ロウを使用せずアルゴンビームコアギュレーターにて止血を行ったところ, 縦隔炎の発生は皆無 (0%) となった. 骨ロウは, 縦隔炎の発生に大きく関与している可能性があり, その使用については再検討が必要である. 胸骨切離面の止血...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 23; no. 4; pp. 257 - 260
Main Authors 安達, 秀雄, 井手, 博文, 村田, 聖一郎, 山口, 敦司, 井野, 隆史, 川人, 宏次, 水原, 章浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.07.1994
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.23.257

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Summary:胸骨正中切開のアプローチによる心臓外科手術338例のうち, 初期の233例には胸骨切開時に骨ロウを使用したが, 7例 (3.0%) の縦隔炎が発生した. 7例のうち6例の縦隔炎に対しては, 創部開放洗浄ののちに大網を充填するという治療を行った. これら6例において全例とも縦隔炎は治癒したが, 1例のみ脳梗塞, 肺炎のために失った. この反省から, その後の105例には骨ロウを使用せずアルゴンビームコアギュレーターにて止血を行ったところ, 縦隔炎の発生は皆無 (0%) となった. 骨ロウは, 縦隔炎の発生に大きく関与している可能性があり, その使用については再検討が必要である. 胸骨切離面の止血にはアルゴンビームコアギュレーターを使用したが, 術中出血量, 術後出血再開胸の頻度などに差は認められず, 有用であった.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.23.257