外傷性肝細胞癌破裂に対し肝動脈塞栓術を施行後切除した1例

外傷性肝細胞癌破裂の報告は16例とまれであり, 経験した1例に文献的考察を加え報告する. 症例は69歳の男性で, 交通事故で腹部を打撲し近医にショック状態で搬送された. 腹部CTで肝S8の肝細胞癌 (hepatocellular carcinoma; 以下, HCC) 破裂による出血性ショックと診断され, 緊急血管造影検査およびTAEを施行された. TAE後は腹膜播種やviableなHCCを認めなかったが, 7か月後の腹部CTで, TAE治療による腫瘍壊死部周囲に癌再発を認め手術を行った. 大網がHCC破裂部を覆うように横隔膜と肝臓に癒着しており, 肝S8亜区域切除と横隔膜合併切除を施行した....

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 9; pp. 1698 - 1703
Main Authors 永野, 元章, 高橋, 伸育, 新名, 一郎, 近藤, 千博, 片岡, 寛章, 内山, 周一郎, 千々岩, 一男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2008
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.41.1698

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Summary:外傷性肝細胞癌破裂の報告は16例とまれであり, 経験した1例に文献的考察を加え報告する. 症例は69歳の男性で, 交通事故で腹部を打撲し近医にショック状態で搬送された. 腹部CTで肝S8の肝細胞癌 (hepatocellular carcinoma; 以下, HCC) 破裂による出血性ショックと診断され, 緊急血管造影検査およびTAEを施行された. TAE後は腹膜播種やviableなHCCを認めなかったが, 7か月後の腹部CTで, TAE治療による腫瘍壊死部周囲に癌再発を認め手術を行った. 大網がHCC破裂部を覆うように横隔膜と肝臓に癒着しており, 肝S8亜区域切除と横隔膜合併切除を施行した. 術中腹腔内洗浄細胞診は陰性であった. 病理組織学的検査所見ではTAEで壊死に陥ったHCCの周囲にviable lesionを認めた. 術後問題なく14日目に退院した.骨転移を認めたが放射線治療し, 術後8か月の現在健在である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.41.1698