歯周組織と性ホルモン 歯根膜由来線維芽細胞の代謝に及ぼす性ホルモンの影響

本研究では, ヒト歯根膜由来線維芽細胞の代謝に及ぼす性ホルモンの影響を, 種々の細胞機能の面から検討した。 歯根膜由来線維芽細胞および歯肉由来線維芽細胞は, 健康な歯周組織を持つ7人から分離・ 調製した。性ホルモンは, 17β - エストラジオールおよびプロゲステロンを用い, 線維芽細胞機能に及ぼすホルモンの作用を調べ以下の結果を得た。 1. 歯根膜由来線維芽細胞は, 形態的およびアルカリフオスファターゼ活性から, 骨誘導性細胞に類似した特性を示した。 2. 歯根膜由来線維芽細胞のDNA合成は, 17β-エストラジオールおよびプロゲステロンにより5%の血清存在下で上昇した。 3. 歯根膜由来線...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 31; no. 1; pp. 166 - 175
Main Authors 小野, 耕資, 野村, 慶雄, 後藤, 弘幸, 木下, 正彦, 新井, 英雄, 村山, 洋二, 清水, 秀樹, 滝川, 雅之, 難波, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 28.03.1989
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.31.166

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Summary:本研究では, ヒト歯根膜由来線維芽細胞の代謝に及ぼす性ホルモンの影響を, 種々の細胞機能の面から検討した。 歯根膜由来線維芽細胞および歯肉由来線維芽細胞は, 健康な歯周組織を持つ7人から分離・ 調製した。性ホルモンは, 17β - エストラジオールおよびプロゲステロンを用い, 線維芽細胞機能に及ぼすホルモンの作用を調べ以下の結果を得た。 1. 歯根膜由来線維芽細胞は, 形態的およびアルカリフオスファターゼ活性から, 骨誘導性細胞に類似した特性を示した。 2. 歯根膜由来線維芽細胞のDNA合成は, 17β-エストラジオールおよびプロゲステロンにより5%の血清存在下で上昇した。 3. 歯根膜由来線維芽細胞のコラーゲン合成は, 両性ホルモンにより低下した。非コラーゲン性タンパク合成は, エストラジオールおよび低濃度のプロゲステロンにより低下した。 4. 歯根膜由来線維芽細胞の代謝機能発現には, 培養系に血清の添加が必要である。以上より, 性ホルモンは, 歯根膜由来線維芽細胞の代謝と深く関わっていることを結論した。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.31.166