上部直腸早期癌に対する根治性とQOLを重視したminimally invasive transanal surgery
内視鏡的な一括切除が不可能で, 術前診断sm3を除き, 従来の経肛門的な切除が不可能な上部直腸早期癌に対して, minimally invasivetransanal surgery (MITAS) を施行した. 対象は, 直腸早期癌28例, 29病変 (m 17, sm1 6, sm2 5, sm3 1) で, 大きさは平均26mm, 肛門縁より腫瘍下縁までの距離は平均9.2cmであり, 病変の66%は腹膜反転部以上に局在していた. 術式は, E式開肛器を用い, 直腸のshortening, invaginationを行って癌を視野内に置き, 腫瘍牽引用の糸針をかけ, 自動縫合器を用いて腫瘍...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 4; pp. 1028 - 1032 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
1998
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.31.1028 |
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Summary: | 内視鏡的な一括切除が不可能で, 術前診断sm3を除き, 従来の経肛門的な切除が不可能な上部直腸早期癌に対して, minimally invasivetransanal surgery (MITAS) を施行した. 対象は, 直腸早期癌28例, 29病変 (m 17, sm1 6, sm2 5, sm3 1) で, 大きさは平均26mm, 肛門縁より腫瘍下縁までの距離は平均9.2cmであり, 病変の66%は腹膜反転部以上に局在していた. 術式は, E式開肛器を用い, 直腸のshortening, invaginationを行って癌を視野内に置き, 腫瘍牽引用の糸針をかけ, 自動縫合器を用いて腫瘍を切除した. 手術時間は平均23分, 出血量は平均21gで, 術後の合併症も軽度の後出血1例のみで, 食事摂取も術翌日より可能で, 退院までの日数も約5日であった. 術後の観察期間は最長3年8か月で, 再発はMITASで再切除した断端陽性の1例のみで, 以降この症例を含め再発はなく, MITASは根治性とQOLを重視したminimallyinvasiveな術式と考えられた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.31.1028 |