静脈圧上昇の腎循環・腎機能への影響 左心補助施行中の右房圧上昇例における腎障害発生機序の解明
開心術後左心補助人工心臓施行例では体循環を正常に維持しているにもかかわらず腎不全の発生は主要な合併症のひとつである. 左心補助施行中の腎不全発症例で右房圧高値を認めたことより, 右房圧高値と腎障害発生の相互関連性に着目し, 成犬使用下, 腎静脈圧を局所的に上昇させ腎血行動態および腎機能への影響を検討した. 左腎静脈圧の選択的上昇(25±2mmHg)により左腎動脈血流量は20~25%低下し, 左側腎の尿量・自由水クリアランス(CH2O)は右側腎に比し有意に低下した. 経過中, 大動脈平均圧(114±5mmHg), 心拍出量(2.6±0.21/min)は正常範囲内に保たれた. したがって重症心不全...
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Published in | 人工臓器 Vol. 22; no. 4; pp. 1193 - 1198 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
15.08.1993
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ISSN | 0300-0818 1883-6097 |
DOI | 10.11392/jsao1972.22.1193 |
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Summary: | 開心術後左心補助人工心臓施行例では体循環を正常に維持しているにもかかわらず腎不全の発生は主要な合併症のひとつである. 左心補助施行中の腎不全発症例で右房圧高値を認めたことより, 右房圧高値と腎障害発生の相互関連性に着目し, 成犬使用下, 腎静脈圧を局所的に上昇させ腎血行動態および腎機能への影響を検討した. 左腎静脈圧の選択的上昇(25±2mmHg)により左腎動脈血流量は20~25%低下し, 左側腎の尿量・自由水クリアランス(CH2O)は右側腎に比し有意に低下した. 経過中, 大動脈平均圧(114±5mmHg), 心拍出量(2.6±0.21/min)は正常範囲内に保たれた. したがって重症心不全に対し左心補助を施行しても, 右心不全を併発し静脈圧高値に至る時は腎障害発生の危険性が高いと考えられた. |
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ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
DOI: | 10.11392/jsao1972.22.1193 |