小肝細胞癌に対するエタノール注入療法

1984年1月から1989年6月までに当科に入院して初回治療にエタノール注入療法を行った小肝細胞癌151例を, 同時期に入院治療した肝小切除術63例, 肝動脈塞栓術168例と予後を中心に比較検討した. エタノール注入療法は肝機能良好な腫瘍径20mm以下の症例の5年, 7年生存率はそれぞれ61%, 22%であり, 肝切除例 (5年生存率62%, 7年生存率28%) と同等であった. 腫瘍径21~30mmの症例では, 肝動脈塞栓術治療症例より明らかに良好な予後が得られたが, 肝切除症例には劣っていた. さらに5年以上の長期生存例45例の検討から, 治療後の再発癌の早期診断, 早期治療が長期生存に重...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 8; pp. 1873 - 1877
Main Author 田中, 正俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1995
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.28.1873

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Summary:1984年1月から1989年6月までに当科に入院して初回治療にエタノール注入療法を行った小肝細胞癌151例を, 同時期に入院治療した肝小切除術63例, 肝動脈塞栓術168例と予後を中心に比較検討した. エタノール注入療法は肝機能良好な腫瘍径20mm以下の症例の5年, 7年生存率はそれぞれ61%, 22%であり, 肝切除例 (5年生存率62%, 7年生存率28%) と同等であった. 腫瘍径21~30mmの症例では, 肝動脈塞栓術治療症例より明らかに良好な予後が得られたが, 肝切除症例には劣っていた. さらに5年以上の長期生存例45例の検討から, 治療後の再発癌の早期診断, 早期治療が長期生存に重要な因子であることが示唆された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.28.1873