Endotoxin fragmentsあるいはcytokine-inducing substancesのhigh-flux膜ダイアライザー通過に関する基礎的研究
Endotoxin (ET) フラグメントあるいはcytokine-inducing substances (CIS, サイトカイン誘導物質) がhigh-flux膜ダイアライザーを生物活性を有した形で通過し, 末梢血単球を刺激するかどうかについてin vitroでの基礎的検討を行った. 透析液供給システム内重炭酸ソーダ原液タンクより分離同定されたPseudomonas (P.) aeruginosa臨床株を用いて, ET濃度621pg/ml, 100ng/ml, 8.92μg/mlのET汚染培養液を準備した. 臨床環境で生じ得るようなET汚染濃度 (621pg/ml) 培養液については, 3...
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          | Published in | 日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 9; pp. 1475 - 1482 | 
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| Main Authors | , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            社団法人 日本透析医学会
    
        28.09.1993
     | 
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| ISSN | 0911-5889 1884-6211  | 
| DOI | 10.4009/jsdt1985.26.1475 | 
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| Summary: | Endotoxin (ET) フラグメントあるいはcytokine-inducing substances (CIS, サイトカイン誘導物質) がhigh-flux膜ダイアライザーを生物活性を有した形で通過し, 末梢血単球を刺激するかどうかについてin vitroでの基礎的検討を行った. 透析液供給システム内重炭酸ソーダ原液タンクより分離同定されたPseudomonas (P.) aeruginosa臨床株を用いて, ET濃度621pg/ml, 100ng/ml, 8.92μg/mlのET汚染培養液を準備した. 臨床環境で生じ得るようなET汚染濃度 (621pg/ml) 培養液については, 3種類のhigh-flux膜ダイアライザー (EVAL, PAN, PMMA) 内を灌流させ, backfiltrateを採取. 高濃度 (100ng/mlおよび8.92μg/ml) ET汚染培養液については, PAN膜ダイアライザーからのbackfiltrateを用いて, 単球からのサイトカイン (IL-1β, IL-6とTNFα) 産生刺激を測定した. ET濃度621pg/mlの培養液では, どの種のダイアライザーからのbackfiltrateにおいても単球サイトカイン産生亢進は起こらなかったし, ET濃度100ng/ml培養液のPAN膜ダイアライザーからのbackfiltrateにおいても, サイトカイン産生刺激は認められなかった. 極端な高濃度 (8.92μg/ml) ET汚染液のPAN膜ダイアライザーからのbackfiltrateでは, 有意に単球からのサイトカイン産生を亢進させており, 何らかのCISがhigh-flux membraneを通過していることが証明された. 一方, 末梢血の体外循環回路 (PAN膜ダイアライザー) との接触だけでは, 単球からのサイトカイン産生亢進は認められなかった. また, 活性化補体成分でアナフィラトキシンであるC5a (100ng/ml) の存在だけでは, 単球サイトカイン産生亢進を生じないが, lipopolysaccharide (LPS) との共存下で, サイトカイン産生が相乗的に刺激された. 今回のin vitroでの基礎的検討からは, 臨床の現場では起こり得ないようなET汚染 (μg/ml以上の高濃度) の場合に限ってCISがPAN膜ダイアライザーを通過することが証明されたが, 実際の臨床の場で想定されるET汚染 (600pg/ml-100ng/ml) の場合には, CISが透析膜を通過していることは証明されなかった. 透析液の浄化がどの程度必要なのか, 再検討の余地があると思われる. | 
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| ISSN: | 0911-5889 1884-6211  | 
| DOI: | 10.4009/jsdt1985.26.1475 |