ウェアラブル生体センサを用いた暑熱ストレス評価システムの開発

暑熱ストレスの評価には伝統的にWBGT値と呼ばれる指標が用いられている.しかし,WBGT値は外的な環境要因のみを示しており,身体にかかる作業負担,暑熱ストレスへの馴れ,衣類の熱抵抗など個人ごとに異なる要因についても考慮するよう求められているものの,その判断は個人の主観に依るところが大きい.一方で,近年の計測デバイスの小型化・省電力化やIoT技術の進歩によって,装着者が負担をほとんど感じることなく生体情報を収集し,リアルタイムに解析,フィードバックすることが可能となった.そこで我々はシャツタイプのウェアラブル生体センサに着目し,心拍数,加速度情報,衣服内温度から個々の暑熱ストレスを客観的に評価す...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual57; no. Abstract; p. S262_1
Main Authors Nakae Satoshi, 金子 美樹, 清野 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Japanese Society for Medical and Biological Engineering 2019
公益社団法人 日本生体医工学会
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.annual57.s262_1

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Summary:暑熱ストレスの評価には伝統的にWBGT値と呼ばれる指標が用いられている.しかし,WBGT値は外的な環境要因のみを示しており,身体にかかる作業負担,暑熱ストレスへの馴れ,衣類の熱抵抗など個人ごとに異なる要因についても考慮するよう求められているものの,その判断は個人の主観に依るところが大きい.一方で,近年の計測デバイスの小型化・省電力化やIoT技術の進歩によって,装着者が負担をほとんど感じることなく生体情報を収集し,リアルタイムに解析,フィードバックすることが可能となった.そこで我々はシャツタイプのウェアラブル生体センサに着目し,心拍数,加速度情報,衣服内温度から個々の暑熱ストレスを客観的に評価するシステムを開発した.主に建築・建設の作業現場等,暑熱環境下で労働に従事している者を対象に,延べ6580人・日分のデータを収集した.得られた全データから加速度情報と心拍数との関係を標準化し,標準化心拍応答モデルを作成した.これによって,内的な暑熱ストレスである作業負担を個人ごとに数値化できるようにした.また,衣服内温度から個々が置かれた環境の外的な暑熱ストレスを反映させ,総合的な暑熱ストレスの評価を可能とした.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.annual57.s262_1