食道静脈瘤手術症例の検討

昭和46年より61年までの16年間に経験した食道静脈瘤手術症例は51例(男29例, 女22例)で, 肝硬変症21例, 特発性門脈圧亢進症14例などであつた. 手術術式は, 胃上部血管郭清を含めた食道離断術が25例, 胃噴門切除術4例, その他, 摘脾のみ6例などであつた. 手術死亡は緊急手術群(緊群)で16例中5例31.2%, 予防待期手術群(予群)では35例中1例2.9%であった. 緊群の術前状態はChild C 9例, B 7例であつたが, 予群にはChild Cは35例中1例にすぎなかつた. 5年生存率は予群74.3%, 緊群12.9%であつた. 術後の静脈瘤の経過は, 食道離断術では,...

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Published in医療 Vol. 41; no. 12; pp. 1031 - 1035
Main Authors 永田, 昌彦, 井上, 啓爾, 田坂, 裕保, 中田, 俊則, 古川, 正人, 瀬戸口, 正幸, 林, 〓欽, 草野, 敏臣, 酒井, 敦, 立花, 一幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.12.1987
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.41.1031

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Summary:昭和46年より61年までの16年間に経験した食道静脈瘤手術症例は51例(男29例, 女22例)で, 肝硬変症21例, 特発性門脈圧亢進症14例などであつた. 手術術式は, 胃上部血管郭清を含めた食道離断術が25例, 胃噴門切除術4例, その他, 摘脾のみ6例などであつた. 手術死亡は緊急手術群(緊群)で16例中5例31.2%, 予防待期手術群(予群)では35例中1例2.9%であった. 緊群の術前状態はChild C 9例, B 7例であつたが, 予群にはChild Cは35例中1例にすぎなかつた. 5年生存率は予群74.3%, 緊群12.9%であつた. 術後の静脈瘤の経過は, 食道離断術では, 消失9例, 改善9例, 不変1例であつたが, 食道を離断しない食道粘膜下静脈瘤結紮術や摘脾のみでは不変の症例が多かつた. すなわち, 食道静脈瘤に対しては, 胃上部血管郭清を含む食道離断術が必要であるが, この手術成績の向上には, 緊急手術を避け待期的手術にすることが重要であろうと考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.41.1031