重症サルコペニア・フレイルに対するトレーニングの検討

【現場へのアイデア】サルコペニア・フレイルの改善症例から、高齢者に対するトレーニング 指導のアイデアを提言する。医療機関と連携し、限られた器材の環境でも実施でき、日常生活 にも反映できた内容を述べる。また、効果的な指導の為のアウトライン作成にも役立てたい。 背景:サルコペニア・フレイル状態の高齢者に対するトレーニングは、疾患、認知機能、意欲、 疼痛、栄養状態などを考慮する必要性が高い。それらを包括的に配慮しながら実施し、効果を 検討した。 トレーニング指導の目的:重症サルコペニア・フレイル状態の改善を目的とした。 対象者または対象チーム:80歳代男性、BMI:18.2kg/m2、SMI:6.4...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inConference Proceedings of Japan Society of Scientific Coaching forTraining Vol. 2024; p. 26
Main Authors TAMAKI Shohei, 南 照美, 角谷 裕之, 三宅 加奈子, WAKIMOTO Toshihiro, HAMADA Hiroki, 杉本 研
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本トレーニング指導学会 2024
Japan Society of Scientific Coaching for Training
Online AccessGet full text
ISSN2433-7773
2434-3323
DOI10.32171/cpjssct.2024.0_26

Cover

More Information
Summary:【現場へのアイデア】サルコペニア・フレイルの改善症例から、高齢者に対するトレーニング 指導のアイデアを提言する。医療機関と連携し、限られた器材の環境でも実施でき、日常生活 にも反映できた内容を述べる。また、効果的な指導の為のアウトライン作成にも役立てたい。 背景:サルコペニア・フレイル状態の高齢者に対するトレーニングは、疾患、認知機能、意欲、 疼痛、栄養状態などを考慮する必要性が高い。それらを包括的に配慮しながら実施し、効果を 検討した。 トレーニング指導の目的:重症サルコペニア・フレイル状態の改善を目的とした。 対象者または対象チーム:80歳代男性、BMI:18.2kg/m2、SMI:6.46kg/m2、握力:右23.8kg左 27kg、4m快適歩行速度:0.58m/秒、下腿周囲径:右30cm左30cm 、5回立ち上がり:27.69秒、顔面 神経麻痺に関する入院をきっかけにコンディション悪化(重症サルコペニア)。J-CHS5/5によ りフレイルと診断されていた。 方法・期間:呼吸及びストレッチ、低強度トレーニング(仰臥位)、立位コーディネーション 及び筋力トレーニング、栄養指導を実施した。週1回各50分とし、約4か月間実施した。リラッ クスできる内容から開始し、主に自重を用いた動作制御トレーニング、ボール及びミニハード ルなどを用いたコーディネーショントレーニングと多様な内容を実施した。 測定環境:医療機関併設の運動施設(名称:フレイルセンター)にて測定を行った。 測定手順及び分析方法:ヒアリング→下腿周囲径→握力→片脚立位→5回立ち上がり→4m快適 歩行速度→体組成の順に測定した。体組成の測定にはTANITAマルチ周波数体組成計MC-780A-N を用いた。 結果:SMI:6.46→7.4kg/m2、握力:右23.8→24.2kg左27→27.5kg、4m快適歩行速度:0.58→1m/秒、 下腿周囲径:右30→32cm左30→31.5cm、5回立ち上がり:27.69→14.3秒であり、サルコペニア非 該当となった。グランドゴルフ再開、趣味である写真撮影による社会参加が見られている。 考察:対象者の状況に合わせ、包括的なトレーニングアプローチを実施する事は重症サルコペ ニア・フレイルに対して有効であることが分かった。多様なプログラム設定により、日常生活 に反映できる工夫をすることで、趣味活動及び社会活動参加の促しにもなると考えられ、それ らがより一層トレーニング効果を高めると考えられる。こういった症例の蓄積により、高齢者 に対するトレーニング指導のスタンダード構築の一助としたい。
ISSN:2433-7773
2434-3323
DOI:10.32171/cpjssct.2024.0_26