スプリントドリル導入が盗塁局面にもたらす効果 -Ⅰ県立KS高等学校野球部を対象に

【現場へのアイデア】部活動指導において、競技練習のみならずスプリントドリルを実施する ことで、盗塁時間短縮に繋がることが示唆された。ドリルを用いる場合は、タイムだけではな く、ストライド及びピッチのどちらにトレーニング効果が生じているのかを把握する必要があ る。盗塁走などを実際に撮影し、個々の特徴を理解することでスプリントドリル導入によるト レーニング効果を高められる可能性が考えられる。走りやトレーニング時は正しい姿勢、強度 など様々な調整が必要であり、動画撮影などを通して、ストライドやピッチといった内容をフ ィードバックできる環境にてトレーニングを実施していくことが重要である。 背景:盗塁成...

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Published inConference Proceedings of Japan Society of Scientific Coaching forTraining Vol. 2024; p. 32
Main Author MONOBE Shota
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本トレーニング指導学会 2024
Japan Society of Scientific Coaching for Training
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ISSN2433-7773
2434-3323
DOI10.32171/cpjssct.2024.0_32

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Summary:【現場へのアイデア】部活動指導において、競技練習のみならずスプリントドリルを実施する ことで、盗塁時間短縮に繋がることが示唆された。ドリルを用いる場合は、タイムだけではな く、ストライド及びピッチのどちらにトレーニング効果が生じているのかを把握する必要があ る。盗塁走などを実際に撮影し、個々の特徴を理解することでスプリントドリル導入によるト レーニング効果を高められる可能性が考えられる。走りやトレーニング時は正しい姿勢、強度 など様々な調整が必要であり、動画撮影などを通して、ストライドやピッチといった内容をフ ィードバックできる環境にてトレーニングを実施していくことが重要である。 背景:盗塁成功率向上により、得点できる可能性が高まることから、陸上短距離種目に用いら れるトレーニングが効果的であると考えた。 目的:スプリントドリル導入によって盗塁局面にもたらす効果について明らかにすること。 対象者:Ⅰ県立KS高等学校硬式野球部に所属する高校1年生11名(身長:172.6±4.5cm、体重: 65.3±5.9kg、競技歴:7.2±1.7年) であり、陸上経験を有する者はいなかった。 方法・期間:週4回スプリントドリルを3週間実施した。実施内容は、①30mごとにピッチ及び ストライドを意識させる120m変換走②片足ハイ二―(ミニハードル)③ラダーとし、3週間同 じ内容で実施した。 測定環境:Ⅰ県立KS高等学校野球場。 測定手順及び分析方法:トレーニング介入前後(pre、post)に一塁から二塁への盗塁走を行わ せた際の動画を高速度カメラ(JVC社製、GC-LJ25B)で撮影した。リードは一塁ベースから3.3m に統一した。被験者は投球動作に反応してスタートし、スライディングで二塁まで進塁した。 動画上のタイムコードを利用し、リアクションから二塁到達までのタイムを求めた。被験者は 2試技行い、到達タイムが短かったものを分析対象とし、平均速度、ストライド及びピッチを 求めた。トレーニング前後における到達タイム、各被験者の1歩ごとのストライド及びピッチ の比較は対応のあるt検定を用いた。有意水準は5%未満とした。 結果: 盗塁走においてpost(4.03±0.10秒)はpre(4.12±0.10秒)に比べて有意に速かった (p<0.05)。2名はストライドが有意に減少し(p<0.05)、ピッチについては1名のみ有意に増加し た(p<0.05)。平均速度においてはドリル介入前後で有意な差はみられなかったものの、各被験 者内の比較では1名有意に減少し(p<0.05)、1名有意に増加した(p<0.05)。 考察:スプリントドリル導入によって、二塁到達タイムが短くなったことから、有効なトレー ニングであると考えられる。しかし、ストライド及びピッチについては、被験者ごとに異なる 結果となったが、全体を通してピッチの向上がみられたことから、ドリル導入がピッチに与え る影響が大きいと推察される。到達タイム短縮により、ドリル導入によってリアクションから スライディングまでの盗塁局面全体に作用した可能性が考えられる。
ISSN:2433-7773
2434-3323
DOI:10.32171/cpjssct.2024.0_32