津軽海峡南西海域における深層流の長周期変動

津軽海峡南西海域の深層における流速変動を調べることを目的に, 1994年4月~1995年4月の一年間, 本海域の水深300m(日本海固有水上部)と水深2,100m(日本海固有水内)で係留観測を実施した。その結果, 水深2,100mの陸棚斜面上には季節変化のほとんどみられない年平均5cms-1程度の北上流が卓越していることが確認された。さらに, この北上流には上下層間で有意な相関をもった長周期変動(周期10日以上)が重なっており, それらは26日~30日, 15日~18日, 10日~12日の3周期帯であった。26日~30日, 10日~12日周期帯変動は一年中ほぼ定常的に存在し, 同海域の海上風と...

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Published in海の研究 Vol. 10; no. 1; pp. 1 - 13
Main Authors 森, 康輔, 磯田, 豊, 村上, 敬, 大谷, 清隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本海洋学会 01.01.2001
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ISSN0916-8362
2186-3105
DOI10.5928/kaiyou.10.1

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Summary:津軽海峡南西海域の深層における流速変動を調べることを目的に, 1994年4月~1995年4月の一年間, 本海域の水深300m(日本海固有水上部)と水深2,100m(日本海固有水内)で係留観測を実施した。その結果, 水深2,100mの陸棚斜面上には季節変化のほとんどみられない年平均5cms-1程度の北上流が卓越していることが確認された。さらに, この北上流には上下層間で有意な相関をもった長周期変動(周期10日以上)が重なっており, それらは26日~30日, 15日~18日, 10日~12日の3周期帯であった。26日~30日, 10日~12日周期帯変動は一年中ほぼ定常的に存在し, 同海域の海上風と有意な相関があることがわかった。このうち10日~12日周期帯変動は, 係留点(ヘナシ崎)沖を東西に走る陸棚斜面上に捕捉された地形性ロスビー波の東向き伝播を捉えた現象であることがわかった。一方, 15日~18日周期帯変動は海上風との関係はみられず, 1994年7月~8月に対馬暖流の小蛇行が係留点付近を通過する時期にのみ卓越した傾圧的な変動であることが示唆された。
ISSN:0916-8362
2186-3105
DOI:10.5928/kaiyou.10.1