腎癌333例の臨床統計的観察 第2報 画像診断

横浜市大とその関連病院における1965年1月から1982年12月までの18年間に経験した腎癌333例について, KUB, IVP, 腎動撮影の所見の臨床統計を行い, 次の結論を得た. 1. KUBにて石灰化陰影の認められた腎癌症例は298例中26例, 8.7%で, 非末梢型 (egg shell) が21例と多く, 末梢型, 混合型はわずかであった. また石灰化陰影を伴う腎癌症例の5年実測生存率は43%で, 伴わぬ症例の47%と差異はなかった. 2. IVPに於ける最も頻度の高い所見は腎盂腎杯の圧排偏位の68% (200/294例) であり, 無機能腎は47例 (16%) に見られた. 無機能...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 78; no. 8; pp. 1388 - 1393
Main Authors 吉邑, 貞夫, 中橋, 満, 古畑, 哲彦, 福島, 修司, 近藤, 猪一郎, 仙賀, 裕, 穂坂, 正彦, 福岡, 洋, 里見, 佳昭, 石塚, 栄一, 福田, 百邦, 塩崎, 洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 20.08.1987
The Japanese Urological Association
社団法人日本泌尿器科学会
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.78.8_1388

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Summary:横浜市大とその関連病院における1965年1月から1982年12月までの18年間に経験した腎癌333例について, KUB, IVP, 腎動撮影の所見の臨床統計を行い, 次の結論を得た. 1. KUBにて石灰化陰影の認められた腎癌症例は298例中26例, 8.7%で, 非末梢型 (egg shell) が21例と多く, 末梢型, 混合型はわずかであった. また石灰化陰影を伴う腎癌症例の5年実測生存率は43%で, 伴わぬ症例の47%と差異はなかった. 2. IVPに於ける最も頻度の高い所見は腎盂腎杯の圧排偏位の68% (200/294例) であり, 無機能腎は47例 (16%) に見られた. 無機能腎は腫瘍の大きなものが多い傾向を示したが, 5年実測生存率は有意に不良ではなかった. 3. 腎動脈撮影では hypervascular な所見を示した症例は221例 (89%) で, hypovascular なものは19例 (8%), avascular なものは7例 (3%) であった. avascular な症例はlow grade の papillary type の場合と非常に悪性度の高い幼若型又は紡錐型の grade IVの腎癌である場合のいずれかであり, 術前の鑑別診断の必要性についても述べた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.78.8_1388