検診時偶然発見された気胸と胸水貯留が診断の契機となった悪性胸膜中皮腫の1例

症例は51歳女性. 検診の胸部X線写真で左側気胸を指摘され来院. 当科入院時, 中等度の左側気胸と同側の少量の胸水貯留が認められた. 胸部X線写真及びCT上原因となるブラ及び胸膜肥厚が見られず自然気胸に伴う胸水という判断で2回にわたり脱気を行ない軽快した. 1ヵ月の入院後, 外来経過観察となったが, 2ヵ月後, 胸水貯留が著明となったため再入院. 胸水は血性でなくやや白濁した浸出液で, 真菌, 一般細菌及び結核菌が陰性, 更に細胞診で悪性所見はみられなかった. しかし, 胸水のヒアルロン酸が高値を示し, 胸水が増加傾向を示すため, 開胸下の胸膜生検を施行して悪性中皮腫と確定診断された. 本例は...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 29; no. 4; pp. 477 - 481
Main Authors 圓谷, 智夫, 黒澤, 一, 中山, 勝敏, 松岡, 富男, 林, 雅人, 渡辺, 一, 志村, 早苗, 中澤, 秀喜
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.04.1991
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.29.477

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Summary:症例は51歳女性. 検診の胸部X線写真で左側気胸を指摘され来院. 当科入院時, 中等度の左側気胸と同側の少量の胸水貯留が認められた. 胸部X線写真及びCT上原因となるブラ及び胸膜肥厚が見られず自然気胸に伴う胸水という判断で2回にわたり脱気を行ない軽快した. 1ヵ月の入院後, 外来経過観察となったが, 2ヵ月後, 胸水貯留が著明となったため再入院. 胸水は血性でなくやや白濁した浸出液で, 真菌, 一般細菌及び結核菌が陰性, 更に細胞診で悪性所見はみられなかった. しかし, 胸水のヒアルロン酸が高値を示し, 胸水が増加傾向を示すため, 開胸下の胸膜生検を施行して悪性中皮腫と確定診断された. 本例は来院時, 自然気胸と類似した臨床像を呈した, 極めて稀な悪性胸膜中皮腫である.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.29.477