慢性肺性心に対する血管拡張剤療法

肺性心の予後を改善する手段としての血管拡張剤の有用性を検討した. 容量血管拡張剤である isosorbide dinitrate は前負荷低下による心拍出量低下により組織酸素化が悪化する危険性はあるものの, 肺血流量減少により肺高血圧を低下させ右室仕事量を軽減させた. 抵抗血管拡張剤である nifedipine は右室後負荷低下により心拍出量を増加させ, 組織への酸素運搬能を増加させた. captopril は上記2種の特徴を有する balanced type の血管拡張剤であり, 体血圧低下にもかかわらず心拍数の増加は認めない特徴を有していた. これらの薬剤が肺性心の進展を防止し, 肺性心の...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 24; no. 9; pp. 999 - 1007
Main Authors 坂口, 和成, 荒木, 良彦, 山下, 英俊, 小幡, 泰憲, 澤田, 雅光
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.09.1986
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.24.999

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Summary:肺性心の予後を改善する手段としての血管拡張剤の有用性を検討した. 容量血管拡張剤である isosorbide dinitrate は前負荷低下による心拍出量低下により組織酸素化が悪化する危険性はあるものの, 肺血流量減少により肺高血圧を低下させ右室仕事量を軽減させた. 抵抗血管拡張剤である nifedipine は右室後負荷低下により心拍出量を増加させ, 組織への酸素運搬能を増加させた. captopril は上記2種の特徴を有する balanced type の血管拡張剤であり, 体血圧低下にもかかわらず心拍数の増加は認めない特徴を有していた. これらの薬剤が肺性心の進展を防止し, 肺性心の予後改善の一助となり得るか否か, 今後の検討を重ねたい.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.24.999